2025年1月、新潟市西区で「ママパパカフェ」の第1回目が開催されました。このカフェは、子育て中のお母さんとお父さんを応援することを目的として、村山研究室が主催しました。今年度は全5回の講座が企画されています。今回は「ウェルビーイングを考える」と題し、私が講師を担当し、子育てにおける心身の健康と幸福感について話題提供しました。
開催場所の新潟大学附属図書館に親子合わせて参加者が集まりました。定員を10名とした少人数制での実施でしたが、子どもたちの声も手伝って非常に楽しい雰囲気で時間を過ごすことができました。参加者の中には、初めてこうしたイベントに参加する方や、普段から地域で積極的に子育て支援活動を行っている方など、さまざまです。
一緒に参加し子どもたちは、ときにはお母さんのもとを離れて子どもたち同士で遊んでいる場面も見られました。親たちは学びながらも、そして子どもたちがリラックスして過ごせる空間を、大学をカフェに見立てた演出をしました。
私からは新潟市が保育園発祥の地であることや小千谷市が公立小学校発祥の地であることなど教育のパイオニアであることや、ウェルビーイング(Well-being)が幸福感や満足感を意味し、単に身体の健康や物質的な豊かさだけでなく、心の平穏や充実感、人間関係の満足度にも関わるものであることをお伝えしました。
そして、選択できる生活や夢に向かって進める人生について説明しました。特に子育てにおいて、親が心身ともに元気であることが、子どもにとってもポジティブな影響を与えることについては、参加されたお母さん方からも共感を得ました。
さらに、親としての役割に疲れを感じることや、時には孤独を感じることもあること、それらの感情をどう受け止め、どう向き合うかについて参加者同士でアドバイスをし合う場面もありました。たとえば、「自分らしい親でいることが大切だ」というやり取りは、新米お母さんの心に響いたようでした。笑顔を見せる参加者の姿が印象的でした。
講義の後半では、参加者同士での意見交換が自然な流れで行われました。当初はすべて私が講義形式でお話をするつもりでしたが、やはり参加されたお母さんは子育ての現状や悩み、そして日々の幸せを感じる瞬間について話し合える場面を求めていたのだと思います。日々の忙しさの中でどのように心の余裕を持っているか、ストレスを解消するために実践していることなどを共有しました。この時間は、お互いの悩みを理解し合い、共感できる場となり、参加者みなさんの絆が深まった瞬間でもありました。特に私が印象的だったのは、参加者の一人が「お父さんも一緒に育児をし、一緒に散歩や片付けなどもするんですよ」と話していたことです。時間に追われる毎日の中でも、夫婦の協力や少しの工夫と心掛けで親子の関係が豊かになることを実感できる話でした。
親たちが真剣に講義に耳を傾ける一方で、子どもたちはその横で楽しく遊んでいました。たまにイスから転がってびっくりすることもありましたが、子どもをまんなかにして会場に明るいエネルギーを与えてくれました。親だけでなく子どもたちも参加する形で進められたカフェは、おかあさんたちのほっと一息つける空間づくりになれると思いました。
この取り組みを通じて、参加者のみなさんは「ウェルビーイング」について理解を深め、自分自身と向き合う時間を持つことの大切さを実感してもらいました。また、先輩お母さんや他の参加者との意見交換を通じて、子育ての中で心の余裕を持つためのヒントを得ることができたようです。参加者の一人は「自分自身を大切にすることで、子どもにもより良い影響を与えられることが分かった」と話しており、今後の子育てに対する前向きな気持ちを持つことができたようです。
「ママパパカフェ」の第1回目は、参加者にとって非常に有意義な時間となりました。主催者側の私自身も、この時間を通じて、親としての役割に対する理解が深まり、自己ケアの重要性を再認識することができました。また、意見交換の場では、お互いの体験を共有し、共感し合うことで、孤独感や不安感を少しでも軽減することができたと思います。次回以降も、このような場が続くことで、参加者同士のつながりがさらに強まり、地域全体で子育てを支える温かい雰囲気が広がることを期待しています。
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。2月1日は、新潟大学人文社会・教育科学系准教授 村山敏夫さんです。お楽しみに!