SDGs de はぐくむコラム

○○のために歩く

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みなさんは最近、何か新しくはじめたことはありますか?
わたしは「車にすぐに乗らずに、歩く!」ということを始めました。健康増進のため、気候危機に拍車をかけないように少しでも環境にやさしく過ごすため、など意識的に歩くようにしている理由はいくつかありますが、あるチャリティキャンペーンに友人たちと参加していることもきっかけのひとつです。

災害時の復興支援、女性や女子の自立支援を主な活動とする国際NGOによるそのキャンペーンは、3月8日の国際女性デーを開始日として毎年5月31日まで、約2ヶ月半にわたって展開されています。内容は、参加者が好きな時間に、好きな場所で歩き、その歩数を所定のアプリ等で報告するというものです。報告された歩数から500歩につき1円が、協賛企業各社から主催のNGOへ寄付されます。

キャンペーンサイトによると、参加費および寄付金は、「途上国や紛争・災害地域において、困難な状況にある女性と女子の自立を支援することで貧困削減を目指す」ための活動全般に使われるとし、具体的な支援として、東ティモール、ネパール、ウクライナでの取り組みが紹介されています。こうした支援や社会事業には、賛否があるかもしれません。私自身も、自らの意思で参加していますが、自分が直接関わっている事業でないと寄付金の使途を完全に知る・理解することは難しい、というジレンマがあることも正直なところです。しかしながら、こうした取り組みを通じて世界の現状を知るきっかけになることが、ひとつの意義だと考えます。

加えて、国際支援についても、現地で技術協力や能力開発に携わる以外にもこのように市民が参加できるものもあるのか、と関心をもつきっかけにもなります。「Walk in Her Shoes (彼女の立場になって歩く)」というキャンペーンタイトルは次のようなことを私たちに示しています。世界では約20億人もの人々がいまだに安全に管理された水へのアクセスが十分ではなく困難な思いをしていること、そして日々の生活用水を確保するために水汲みや水の管理といった「家事」を担うのは女性や女の子がほとんどであること、そんな水を汲みに歩く彼女たちのことを想像して、今自分にできることを考えてみよう、と。ウォーキングを楽しんでいるわたしが、同じ地球上で違う立場で歩いている「彼女たち」を想像するなんてうわべだけのようです。そのくらい現実は深刻です。けれども、こうして普段の生活の中で世界の現状に目を向けることは、キャンペーンに参加する・しないの選択だけでなく、そのほかの場面でも、平和で公正な社会づくりをめざす意識をもつことに繋がっています。

田んぼから聞こえる蛙の鳴き声を聞きながら歩くこの時期の散歩は、なんて贅沢な時間!

「歩くこと」を始めたこの2ヶ月、わたしはいろいろなチャレンジをしてみました。例えば、週に1度いつもバスを使っていた移動を徒歩に変えました。最寄駅から目的地まで、徒歩での所要時間は約40分。この40分ウォークは、日頃の運動不足を解消できたり、スマホばかりいじっている時間から解放されたり、まさにデトックスタイムです。これまでバスのスピードで見落としていたその道中の季節の彩りに気づいたときには「どんなに忙しくても、立ち止まることは大切だ」と考えさせられました。

キャンペーン参加中は、ウォーキングアプリと連動させていることから、チームメイト(関東、新潟県内在住の友人たち)の歩数も知ることができます。車での移動が日常である地方在住の私に比べ、関東の友人たちの毎日の歩数が実に多いこと!SNSとはまた違う形で友人たちとの繋がりを楽しんでいました。そんなふうに、「国際協力のため」「寄付のため」だけでなく「自分のため」という意味でも、歩くことを続けています。ちなみに、東京在住の友人のある日の歩数は38,767歩!15,000歩くらいで満足しているわたしはまだまだです。

本コラムで紹介したキャンペーンは5月31日で今年度の期間は終わりましたが、次は、にいがたケンジュプロジェクトの「ケンジュウィーク」に合わせて、体(歩く体力)と頭(自分にできることを考える思考力)を鍛え続けようと思います。

主催団体の頭文字 C に準えて歩いた関東の友人たちの「C ウォーク」の結果!

 

    

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
6月1日は、にいがたNGOネットワーク国際教育研究会 RING 企画副委員長の関 愛さんです。お楽しみに!
http://立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2024/06/01/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20240601100000

この記事のWRITER

関 愛(長岡市在住/にいがたNGOネットワーク国際教育研究会RING企画副委員長)

関 愛(長岡市在住/にいがたNGOネットワーク国際教育研究会RING企画副委員長)

高校教員時代に、日本国際協力機構(JICA)による教師海外研修に参加し、ブータン王国へ。その後も、国内や海外へ飛び回りながら知見を広げ、国際理解教育/開発教育の実践力向上を図ってきた。現在は、新潟県キャリア教育連携促進事業(出前講座)や総合学習コーディネーター等を通じて、学校の「外」から教育に関わりながら“持続可能な社会の創り手“を育むべく活動を展開している。旅好きな性格。家庭では、小学生男児の母として、子育てという「人生の旅」を楽しみ中。
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