SDGs de はぐくむコラム

強靭(レジリエント)なインフラ・その② ~ラジオ~

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皆さんは、毎日テレビや携帯電話を使っていると思いますが、それらがどのように動いているか考えたことはありますか?電源を入れればすぐに使える便利な道具ですが、内部の仕組みについては普段あまり意識しないかもしれません。

一方で、防災グッズとしてラジオを準備している方も多いのではないでしょうか。では、なぜラジオが防災グッズとして選ばれるのでしょう?そして、ラジオはどのような仕組みで音を届けているのでしょうか?今回は、ラジオの役割と仕組みについて簡単にお話ししたいと思います。

防災グッズ

なぜ、防災グッズとしてラジオが選ばれるのでしょうか?

まず1つ目の理由は、正しい災害情報が収集できる点にあります。SNSやインターネットでは正しい情報が得られる一方、フェイクニュースや感情的な情報も混在し、取捨選択が難しいことがあります。その点、ラジオは放送局が正しい情報を選んでニュースや防災情報を電波として届けるため、「どこで何が起きている?」「救援を得るにはどうすれば?」などの必要な情報が、SNSやインターネットが見られない場所でも手に入りやすいのです。

2つ目の理由は、停電時でも使用できることです。ラジオは、受信機と乾電池があればいつでもどこでも聴くことができます。乾電池がない場合でも、手回し発電やソーラーパネルで動作するタイプもあります。また、電源を必要としないゲルマニウムラジオなども存在します。軽量で持ち運びやすく、安価で購入できる点もラジオの魅力です。

BSN新潟放送

筆者が思うラジオの最大の利点は、個人レベルで作れることです。ラジオの仕組みがシンプルなため、教材としても使われています。中学校や高校でラジオを作った経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?私も中学生の時にラジオキットでラジオを作り、大学生の時には一から作りました(イヤホンを除く)。学生ながら「音が聴こえた!」時の感動は今でも覚えています。

さて、ラジオはどのような仕組みで音が聴こえるのでしょうか?今回はAMラジオが聴けるキットを用いて、数十年ぶりにラジオを作ってみました(実際には本学の無線部の学生さんに作っていただきました!)。ご協力いただいたのは、無線部に所属する修士2年の高橋青さんと学部3年の豊倉壮朗さんです。困ったときにはいつも助けていただいており、本当に感謝しています!

完成図①<1石トランジスタラジオ>

完成図①<IC(集積回路)ラジオ>

完成図②

 

1石トランジスタラジオとIC(集積回路)ラジオの完成図です。

「1石」とは、1つのトランジスタを使っていることを指します。アンテナ、コイル、コンデンサを組み合わせた回路でラジオの電波を電気信号に変換し、トランジスタや抵抗、コンデンサを使ってその電気信号を増幅します。そして、イヤホンで電気信号を音に変換することによって、人の耳でラジオを聞くことができるようになります。これらの電子部品は、「はんだゴテ」を使い、主成分がスズの「はんだ」を溶かして接合します。(コテ先は高温になるため、やけどに注意しながら作業してください)。

ポリバリコンと呼ばれる可変コンデンサをくるくる回すと、どこかの電波を受信してイヤホンから放送が聴こえます。このように、シンプルな構造で音を受信するラジオですが、これに使用されている電子部品は、携帯電話などの現代のデバイスでも活用されています。携帯電話では、より高度で複雑な回路を組み合わせることで、音声を電波として送受信し、遠く離れた相手との通信を可能にしています(ただし、ここでは物凄く端折って説明していますので、それぞれの電子部品に関する詳しい説明をご確認ください!)。

長岡技大サークル:無線部

無線部の学生さんにはFMが聴こえるタイプのラジオも作っていただきましたが、今回は割愛させていただきます。なお、こちらは工作教室でも制作が可能です。ラジオ作りに挑戦してみたい方は、BSNラジオ FM92.7 / 94.8が聴こえるワイドFMラジオ工作「BSNサマーラボ夏休み親子教室」が定期的に開催されていますので、是非ご参加いただき、ラジオの仕組みを学び、ラジオが聴ける感動を体験していただければと思います。

 

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。12月14日は、長岡市在住で長岡技大国際産学連携機構 特任講師/主任UEA  の 勝身 麻美さんです。お楽しみに。

http://立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2024/12/14/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20241214100000

この記事のWRITER

勝身 麻美(長岡市在住 長岡技大国際産学連携機構 特任講師/主任UEA)

勝身 麻美(長岡市在住 長岡技大国際産学連携機構 特任講師/主任UEA)

1973年 東京都生まれ、高知県育ち。理学博士。初・中・高等教育に従事、一般企業勤務(海外)を経て、 現在は長岡技大国際産学連携機構所属の特任講師/主任UEAとして 、学長からSDGs企画・立案・推進スペシャリストとして特命を受ける。令和3年度科学技術分野 文部科学大臣表彰科学技術賞。
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