SDGs de はぐくむコラム

自然と人間の共生

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グーテン ターク、お元気ですか!

これまでは、ドイツの小学校事情についてお話してきましたが、今回は未就学児のこども園です。ハンブルク日本人学校は、小学部と中学部で成り立っていますが、保護者の強い要望で「幼稚部」を設立しています。幼稚部との交流にも、日本人学校の校長として参加してきました。そこでは…。

まず驚いたことは、行事の雨天中止という考え方がないのです。もちろん、暴風雨などの時は中止にしますが、ドイツなどでは台風やハリケーンがほとんどありません(地震も)。日独幼稚部合同で近くの森まで遠足に行く機会がありました。ちなみに野外活動を指す”ワンダーフォーゲル”はドイツ語です。山野を歩くことや散歩が大好きな国民です。「お金がかかりませんからね」と園長さんがほほ笑みながら話してくれたのが、印象的でした。

散歩が大好きなドイツ人

ところが当日は雨…。日本での私の経験ですと、安全面を重視して延期か中止です。ところが園長さんから「まあ、雨が降ってはいますが行きましょう」と電話がありました。後で詳しく聞くと、多少の雨であれば、雨具などの準備を周到にして行くことが多いということでした。それが自然の中で生きるということ。雨は悪者ではなく、友だち。いい時もあれば悪い時もあります。今までも雨の恩恵をたくさん受けているのです。十分に用意をして、安全に注意をしていきましょう。もちろん、途中で変化があれば臨機応援に判断します。そうしてずっと自然と人間とはお付き合いしてきたのでしょう? まさに「共生」の考え方ですね。

実際にドイツの子どもたちの雨具を見ると完全防備です。傘などさしません、かえって危ないのです。雨の中でも楽しそうにきちんと並んで歩く姿が忘れられません。森の中に着くと、木の葉を集めたり、どんぐりを集めたり…。晴れていたら、木と木をロープで巻き付け、綱渡りなどで遊ぶ予定でしたが、この時は鬼ごっこやかくれんぼなど。雨の中で子どもたちの明るい笑い声が響き渡りました。森の中では、大きな木の下は濡れていないことが多いです。さあ、おにぎりとサンドイッチのランチ。お互いに少しずつ交換しています、おにぎりを頬張るドイツの子の笑顔!

お祭り広場に向かう親子

今回紹介する本は、「だいじょうぶ だいじょうぶ」です。

いとうひろし作・絵/講談社

主人公の僕は「飛行機が空から落ちないかなあ、あちこちにばい菌がうようよしているのかな」と心配です。そして「いくら べんきょうしたって よめそうに ない じが あふれているし、なんだか、このまま おおきく なれそうに ないと、おもえる ときもありました。」と心配ばかりしています。その時、おじいちゃんは、手を握りおまじないのようにつぶやくのです。

「だいじょうぶ だいじょうぶ」と。

小さい子は、些細なことで心配したり、不安になったりします。人生の先輩である私たち大人が、しっかりと話を聞いて受け止め、適切なアドバイスをしてあげましょう。新米パパさんママさんも不安が多いと思います。

さあ、おじいちゃん、おばあちゃんの出番ですよ!

11月16日(土)BSNラジオ「大杉りさのRcafe」放送予定

この記事のWRITER

倉品章(三条市在住・読書アドバイザー)

倉品章(三条市在住・読書アドバイザー)

1949年・長岡市生まれ。新潟大学卒業後、県内小学校に勤務。ドイツ・ハンブルグ日本人学校長、三条市立裏館小学校長など国内外の教育現場を経験。定年後「あきジィ」の愛称で読み聞かせボランティアを実施。中高年向けに「読書のススメ」講演も。現在:JPIC読書アドバイザー、三条市社会教育委員など。
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