親子てつがく対話ワークショップ 開催レポート
「BSNキッズプロジェクト」では、6月8日(土)に、「考えることを楽しもう!親子てつがく対話ワークショップ」を開催しました。
BSNラジオスタジオに集まったのは、親子26人。新潟市の他、遠く上越市からも。
その輪に、ファシリテーターとして、新潟大学准教授の豊田光世さんが加わります。
豊田さんは、ハワイ大学で「こどものための哲学」=P4C (philosophy for children)と出会いました。今は佐渡市をベースに、”多様な主体の協働による環境ガバナンスのあり方”について研究をされる傍ら、日本各地・世界各地で、「子どもの哲学(philosophy for children)」対話による探究教育を推進されています。
豊田先生は今回、「とよちゃん」というニックネームで、輪に加わりました!
※豊田先生から、イベント後の感想が届きました!詳しくはこちらへ!
こどもの哲学は、日々の暮らしや学校の学びのなかから生まれた問いについて、ゆっくり、じっくり、こどもたちみんなで一緒に考える取り組みです。今回はその「親子バージョン」。
ルールはかんたん。
① 「コミュニティボール」をもった人が、話をする。他の人は、その人の話をじっと聞く。
② 誰かの話を聞いて何か感じたら、コミュニティボールを受け取って、質問したり、自分の考えを語ったり。
③ 誰かの話を、否定しない。
④ 話したくない人は、ただ聞いているだけでいい。
まずは、リラックスするための、自己紹介タイムです。
コミュニティボールをもった人がお話して、次の人に渡します。
お姉ちゃんについてきた、5才の妹さんも、飛び入り参加!
コミュニティボールにも興味津々!
ひととおり自己紹介もおわって、コミュニティボールのキャッチボールで仲良くなったら、
いよいよ、「今日、みんなで何をかんがえようか?」
・・・ひとりひとりが、「みんなで考えたいこと」を、紙に書きだします。
こどもたちから、そして大人たちからは、どんな問いが飛び出すか・・・?
運営側もドキドキ・ワクワク!
なぜ、お金ができた?
どうして、ねこは、捨てられるの?
なぜ、学校は、あるの?
今日、こどもたちから出てきた「問い」は、こんな問いでした。
・友だちとけんかをしても 仲直りしたら また仲よくなれるの?
・なぜしょくだいがあるのか?
・なんでお金は、おさつができたのか?
・がっこうは、どうしていくの?かな?
・なぜ、学校はあるの?
・なぜ、お金ができた?
・ねこは、どうして、すてられるの?
・べんきょうは しょうらいのために なるのか?
・なぜ、あかちゃんは、あるけない?
・なぜ、おなかがへる?
・なんでテレビじゃなくてラジオでじっきょうするの?
・なんで昔から海があるんだろう?
・1日は24時間なのか?
・どうしてけんかをするの?
ちなみに、おとなからの質問は、こんな感じでした。
↓
・なんで仲良いはずなのに、姉弟けんかするの?
・ひとりでいるとさみしいのに、大勢でいると、めんどくさいの?
・なんでいじめがなくならない?
・どうして生きているんだろう?
・どうしたら やさしくできる?
・どうして 食べ過ぎてしまうのか?
・ともだちは多い方がいいの?
・みんなと仲良くしなきゃいけないの?
・人前だと緊張してうまく話せなくなるのはどうして?
・マンガは読書なのか?
・なぜ夜になると眠くなるのかな?
・どうしたら少子高齢化は止められる?
こどもとおとなで、<問い>の雰囲気も、違いますね。
そのあとは、みんなで、「どの問いにしようか?」を決めていきます。
面白いと思った<問い>にシールを貼りながら・・・
そして!いちばん”シール”を集めたのは・・・・”ゆうちゃん”が出した<問い>でした。!!
↓
さあ、「親子てつがく対話」のスタートです!
ゆうちゃんから、「どうしてこのテーマにしたのか?」が語られました。
「こどものときに勉強したのに、大人になったり、
おじいちゃんおばあちゃんになって忘れてしまうのは、
不思議だなーと思ったからです。」
なるほど、”将来のためになるの?”という疑問は、「おとなは、勉強を忘れてしまうのに。」という意味だったんですね。。。お、奥が深い。耳も痛い。(たしかに、因数分解とか、すっかり忘れてしまったなー!)
なんて思っていたら、どんどん、おとなも、こどもも、自分の考えを話しはじめました。
【こども】 将来のためになると思う。もし、勉強しないで大人になったら、ダメなオトナになってしまうから。
【大人】 知らないことを知って喜ぶ、そんな「経験」が大事なんじゃないかな?
【こども】 算数は、仕事の役に立つと思う。
【こども】 スーパーに買い物に行ったとき、高いものを買わないようにするため!
ときどき、ファシリテーターの豊田先生が、誰かの言葉をつかまえて、<考え>の軸を少しだけ変えます。
【豊田】 そもそも、勉強するって、どういうことなんだろう?
ここでも、こどもたちが輝きました。
【こども】 「勉強しないと、なりたい夢に、追いつけなくなってしまうからです。」
「なりたい夢に追いつけなくなる」・・・素敵な言葉ですよね。
これを言った「はんと君」の”なりたい夢”は、警察官でした。がんばれ!
次第にテーマは、「わくわくする勉強って何?」に。
【大人】 答えがある、算数が好きだった。
【こども】 答えがない、自由な図工の時間が好き。
答えがある勉強と、答えがない勉強。
この「てつがく対話」には、答えはありません。
「勉強」について誰かがいったことを、聞いて、じっくり考えて、
ボールをもらって、自分で話す。それが繰り返されました。
おとなも、こどもも、ここではイーブン。
こんなに一生懸命考えているパパやママを、お子さんは見たことがあるのでしょうか?
また、パパやママからわが子を見たとき、新たな発見もあったようです。あるママが言っていました。
「この子は、家にいるとお兄ちゃんたちがいて、あまり自由に発言できない感じなんですが、今日は自分の言葉を聞いてくれる環境があって、のびのびと話していた気がします。」
しっかり聞いてくれる環境があること。自分の考えが否定されず、安心して話せる空間があること。
こどもに限らず、おとなにとっても、大事なことなんだと思いました。
この「親子てつがく対話」は、時間がきたら、バサっと終了になります。
なんとなく、モワっとします。何か結論が出たわけではありません。
でも、もともと、結論をだすことが目的ではありませんでした。”みんなで考えることを、みんなで楽しむ”、このプロセスこそが、目的でした。
最後に、豊田先生が皆さんに伺いました。
「楽しかった人~!」 「はーい!!」
「また、今日のような【考える】イベントに、参加してみたい人~!」
「はーい!」
おとなも、こどもも、たくさん話した人も、聞き役が多かった人も、
会場にいる多くの皆様が、手をあげて下さいました。
みなさんの表情が、なによりも嬉しかったです。
以下、アンケートに寄せられたコメントです。
・自分の考えが少し変化した気がします。
・もう一度この企画に参加したい。
・普段体験しないことなので、とても緊張しましたが、発見があり良かったです。
・子供たちの素直な言葉がストレートに響いた。
・子供がいろいろ考えて発表しているのがスゴイ。大人の発言に人生の深みを感じた。
・小5年生の娘は、少し恥ずかしかったようです。
・こどもから大人と、年齢の違うメンバーでの対話は新鮮でした。
・自分の考えを伝えるって大事だなと思いました。
・大人とこどもの両方の意見を聞けたのは楽しかった。
・答えが出ないで終わったが、続きはこどもと話したい。
・先生の講演が聞きたいと思いました。
・子育てに役立てたいので、もっと先生のお話がききたかった。
また、このイベントの前後には、ご希望者のみ、放送中のラジオスタジオ、テレビスタジオをご案内いたしました。とくに、「なじラテ。」の生放送直前スタジオに入った皆さんは、カウントダウンとともに生放送に入る瞬間を共有し、みなさん大興奮でした!
★この直後、生放送がスタート!!
ご参加いただいたみなさん、どうもありがとうございました!
キッズプロジェクト初めての試み「親子てつがく対話ワークショップ」、いかがでしたか?
次回の開催を、お楽しみに!
新着:豊田先生から、イベント後の感想が届きました!詳しくはコチラへ!