大人の本棚・こどもの本棚

『おとぎ草子』より 「酒呑童子(しゅてんどうじ)」

SNSでシェア

世の中では鬼の登場する漫画が大ブームですが、越後人なら、古来伝わる‟あの鬼”の話を知っておきたいもの。

越後の山寺の稚児だった酒呑童子は、恨みごとから坊主を殺し、丹波国の大江山に流れつく。鬼と化した童子は、年頃の娘を次々にさらい、人々から鬼神と恐れられる。ある時、池田中納言の姫君を救うため、源頼光(みなもとのよりみつ)、渡辺綱(わたなべのつな)等六人のつわものが、山伏に姿を変えて鬼退治に向かう。

鬼の悪行がおぞましいだけの話ではない。頼光と酒吞童子が酒を酌み交わし問答をする場面は機知に富み、討伐シーンは迫力満点で見せ場が続く。

「御伽草子」は、室町から江戸時代にかけて作られた作者不詳の短編物語集。本書には「一寸法師」「浦島太郎」など、なじみ深い7編を収める。原話に忠実な生き生きとした現代語訳でおもしろく読める。

田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に、本や昔話を楽しんで、28年目になりました。公共図書館や幼稚園でも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)

SNSでシェア

新着記事