大人の本棚・こどもの本棚

シナリオ集 終りに見た街

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この本は、同じ小説をもとに作成された、二つのテレビドラマのシナリオを掲載した変わった本です。

一つは、昭和の名脚本家山田太一氏が書いた、昭和54年にある父親が自分の家族、友人とその息子とともに昭和19年にタイムスリップするというテレビドラマのシナリオです。

もう一つは、現代の脚本家宮藤官九郎氏が書いたもので、令和六年の時点の家族が、やはり昭和19年にタイムスリップします。その中で家族は、最初のうちは自分たちが昭和54年あるいは令和6年に生きていたという証拠を隠し、昭和19年に合わせて生き延びるのに必死でした。しかし、そのうち、昭和20年3月10日の空襲で亡くなる人たちを少なくしようと、画策することになります。

読み比べて、一番浮かび上がってきたのは、戦争に対する認識の時代の変化と、世代間ギャップでした。宮藤官九郎氏は、山田版のシナリオは見ずに小説だけを読んで、令和版シナリオを書いたそうです。山田版は戦争体験をどうやってエンターテインメントの中で描くかということに誠実に向き合った作品だと思いました。それに対して、宮藤氏が書きぶりが上手いと思うのは、令和の若者たちの戦争に対する見方を、登場人物に落とし込んで描き切っているところです。山田氏の世代、宮藤氏の世代、そして今の若者の世代の三世代それぞれの生き方や日本の戦争に対する考え方を、読み取ることができ、そこがもっとも興味深かったです。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)

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