大人の本棚・こどもの本棚

おじいちゃんとの最後の旅

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ぼくのおじいちゃんは、今入院している。去年おばあちゃんを亡くして、島で一人暮らしをしてたけど、足を骨折してしまったから。おじいちゃんはがんこで怒りっぽく、汚い言葉を使いまくる。パパはお見舞いに行きたがらず、二人の仲はぎくしゃくしたまま。でも、ぼくとは馬が合うんだ。

ある時、ぼくはおじいちゃんの逃亡計画をたてた。パパとママにはサッカーの合宿に行くとウソをつき、病院からおじいちゃんを連れ出して島へ向かった。なつかしい家、海のにおい、おばあちゃんの作ったコケモモのジャムと再会するために。

主人公(ぼく)は、ついウソをついてしまうことに罪の意識を感じていましたが、二人の旅はおじいちゃんの最後の時間を輝かせ、パパとの和解ももたらしましました。

現代のスウェーデンを代表する作家スタルクは、思春期の少年の成長や、家族の葛藤、老いと死などをテーマに、切なくてユーモラスな物語を数多く書きました。本書が遺作となりとても残念です。

田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、29年目になりました。公共図書館などでも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)

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