ザリガニ採りの季節になりました。大きな赤いハサミがかっこいいザリガニは人気の的。本書は、初夏から冬にかけての生態を描いた、ロングセラーの科学絵本です。子どもに読んでやると、新しい発見がいくつもあり、驚きの声があがります。

一番の魅力は、迫力まんてんのリアルな絵。大きなハサミの他に小さいハサミの付いた足があることや、ハサミが取れても脱皮後にまたはえてくること！　卵からかえったたくさんの子どもがお母さんの腹足（ふくそく）につかまっている様子などが、写真よりもわかりやすく描かれています。背景はすっきりとした白地で、注目したい部分はクローズアップで、じっくり観察できます。

幼い子には、情報満載の本よりも、絵や写真が美しく（楽しく）、ほどよい量の知識を整理し正確に伝えているものがおすすめです。本を読んだ後は、「実物をよく見て確かめたい」と思うようです。

田村 梓（新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、29年目になりました。公共図書館などでも、子どもと本をつなぐ活動をしています。）