はぐくむコラム

【特別寄稿】新型コロナウィルスのことで知っておいてもらいたいこと

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冷静さが何よりも重要

2月29日新潟市内でも陽性者が出て、皆さんもさらに不安になられているかと思います。また、小中学校が休校となって、子どもたちの生活をどうするかなど、不便な生活やストレスが増えている方々も多いのではないかと思います。

こういう時こそ、冷静に判断し行動することと積極的なストレスマネジメントが重要です。もともと、こういった目に見えない病気が流行り始めると、大勢の人がパニックになりデマが発生して大きな問題を引き起こしてきました。現にネット上のデマからトイレットペーパーやティッシュペーパーが売り切れの状態になり始めています。特にネット社会になってからは、デマが瞬時に大々的になってしまいますので、冷静さが何より重要です。そのためにはまず、可能な限り科学的な事実に基づいて考えて行動することが大切です。まずは現在までに分かっていることについてお知らせします。

 

全体の8割は軽症

WHO(世界保健機構)などによる共同調査の報告書がつい最近公表されてました。中国で感染が確認された5万5924人のデータに基づく分析です。症状は、発熱87.9%、咳67.7%、倦怠感38.1%、痰33.4%、息切れ18.6%、のどの痛み13.9%、頭痛13.6%などとなっています。感染すると平均5~6日後に症状が出ています。感染者の約80%は症状が軽く、呼吸困難などを伴う重症患者さんは全体の13.8%、集中治療室での治療を必要とした命に関わる重篤な患者さんは6.1%だったとのことでした。重症や死亡のリスクの高かったのは、60歳を超えた高齢者や高血圧、糖尿病、心臓病や呼吸器の慢性疾患、がんなどの持病のある人でした。無症状や軽症の方々が全例検査を受けていないと考えられていますので、実際は8割よりももっと多くの人たちが軽症であると推測されています。

ほとんどの子どもは軽症か無症状

子どもの感染例は少なく、症状も比較的軽度で、19歳未満の感染者は全体のわずか2.4%と低く、重症化した子どもはわずかでした。しかも、多くは家庭内での濃厚接触者を調べる過程で見つかっていて、調査チームが聞き取りを行った範囲内では、子どもから大人に感染したと話す人はいなかったと指摘されています。子どもたちに対して心配し過ぎないことが大切です。

有効な予防

新型コロナウイルスの感染は飛沫感染か接触感染によると考えられています。飛沫感染とは、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、近くにいた人がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染します。接触感染とは、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、自らの手で周りの物に触れるとウイルスが付きます。ほかの人がその部分に接触すると感染者のウイルスが未感染者の手に付着し、感染者に直接接触しなくても感染します。感染場所の例としては、電車やバスのつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すり、スイッチなどが考えられています。

ウイルスに対して有効な消毒方法として、70%エタノール液か、500~1000ppm(0.05~0.1%)次亜塩素酸ナトリウムがあります。これらの消毒液もかなり品薄になっていて、簡単には手に入らない状態になっていますが、次亜塩素酸ナトリウムは衣類漂白剤のハイターの濃度を3%として、薄めて使用することができます

マスクはなくても大丈夫

今マスクは、どこのドラッグストアでも売り切れ状態で、どうやっても手に入らずとても不安になっている方も多いと思われます。しかし、一般に販売されているマスクは、他者への感染を防ぐためのもので、咳やくしゃみで周囲にウイルスの混じったしぶきをまき散らすことに関してはある程度効果があるとされていますが、ウイルスから自分を守るということに関して、ほとんど効果はないとされています。診療の場面における医療関係者の通常のマスク着用はインフルエンザに対して予防効果はなかったとの研究報告もあります。マスクの利用の仕方によっては、かえって逆効果であることも指摘されています。特に小さい子どもは、きちんと理解してマスクの表面を触らないということは期待できないので、マスクはさせない方がいいとの意見もあります。人間は一日に300回くらい、手で顔を触っているという調査報告もあり、マスクを触った手で目をこすったり、鼻をいじったり、髪を触ったりしてしまいがちです。目や鼻の粘膜からもウイルスは感染します。マスクをすると何となく安心して、かえってこういった行為が増えがちのようにも見えます。外出時は、できるだけ手で顔や頭髪を触らないようにすることの方が大事ではないかと考えられます

一般的な予防法

従来の研究で、かぜ(原因の多くがウイルスで、今回の新型ではない従来のコロナウイルスも原因になります)にかからないために効果が証明されているものには下記のものがあります。手洗いとうがい、適度な運動です。水道水でのうがいを1日3回するだけで、かぜにかかるのを4割減少させたというデータがあります。十分な睡眠と栄養、笑うことも免疫力を高めることが科学的に証明されています。

不安に駆られると、先々の心配なことを次々に探してさらに不安を高めてしまいがちです。当面の様々な目標は下げて、今後のことばかり考えるよりも、今日一日を家族と笑って過ごせることを目標にして過ごすなど、ストレスを可能な限り減らしてお過ごしください。

この記事のWRITER

田中篤(長岡市在住 長岡赤十字病院小児科部長)

田中篤(長岡市在住 長岡赤十字病院小児科部長)

1954年長岡市生まれ。千葉大学医学部卒業、新潟大学医学部小児科学教室に入局。以降、県内各地の小児科に勤務し、小児疾患全般のほか、小児心身症・不登校・子ども虐待・災害時の子どものこころのケアなどの診療に従事。現在:長岡赤十字病院小児科部長 新潟大学医歯学総合病院特任教授、新潟県医師会理事を兼任。
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