はぐくむコラム

迷走するのもよし 厄年に気づいたこと

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今年6月に誕生した次女が生後3ヶ月になった。生後1ヶ月までは、心も体もおっぱいも、限界への挑戦のような日々だった。それが、少しずつ娘なりのリズムがついてきたのだろう。そうやって娘ばかり見ていた日々から、窓の外のうつろいに目をやれるようになってきた。

突然だが、私は今年、厄年らしい。前厄の去年は、本当に体調面もメンタル面も、出来事も…、いいことがなかった。迷いも増えた。そんな不安定な未解決な感情を引きずったまま、2人目を妊娠し、出産した。

ダウナーなメンタルは、女性ホルモンの変化によって発症するとされる”マタニティブルー”から”産後うつ”にスライドしていくという。「赤ちゃんかわいい!このために生きている!」と思う日と、「もうだめだ、私なんて生きる意味がない…。」と思う日を激しく繰り返していた。

空気も景色も暮らしも、秋にどっぷり染まり、それを感じられる余裕が出てきた先日、稲刈りイベントがあり、県内の方々を受け入れた。久しぶりの外出…、久しぶりの家族以外との触れ合い…。そんな状況を想像しただけで、緊張して落ち着かなかった。朝、集合場所に向かって車を運転しているときから、、極度に不安に陥り、勝手にブルーになり、そして凹み…。何もしていないのに既に疲れていた。

集合場所に着いた。稲刈りの受け入れるメンバーたちの顔を見てほっとした。皆が笑顔で迎えてくれた。その笑顔を見ただけで、「ごめんね、ありがとう」の気持ちでいっぱいになった。

一般の参加者が次々と到着し、小雨の降るなか稲刈りが始まった。参加者や地域の方と楽しく言葉を交わしたり、出産のプレゼントをいただいたり、「かなこさん」と名前で呼んでもらったり。そんな一つ一つの出来事が「世界にある全てのものは恐ろしいものばかりじゃない。みんなが私を傷つけようとしているわけではない。この現実の世界は、信じてもいい世界だよ」と思えてきた。

ふと、思った。「私は引きこもりだったのだろうか」と。稲刈りがひと段落したころ、あるメンバーから「かなこ、最近調子どう?」と尋ねられた。私は冗談めかして「いや〜大変大変。絶賛厄年中で、人生迷走中ですわ〜」と笑った。すると、「大丈夫、かなこの迷走は今に始まったことじゃないから」と、笑いながら言葉を投げかけてくれた。私は、「えーーー!」と、吉本新喜劇並みにズッコケはしたが、その言葉に救われた気がした。色々な変化があって、これからの仕事や生活をどうしよう…と、戸惑っていたけれど、「あぁそっか。私の迷走って、特別なことじゃなくて、平時なんだね」と思うと、楽になった気がした。「迷走しているときも、全力疾走しているときも、それは深呼吸のように裏表」。自分の中に住む、ひどくネガティブでイライラしているもう一人の自分にそっと声かけた。深呼吸して、あまり前に進んだり、形になったりしない日々の迷走を、もう少し、楽しんでみよう。

この記事のWRITER

佐藤 可奈子(十日町市在住 スノーデイズファーム代表)

佐藤 可奈子(十日町市在住 スノーデイズファーム代表)

1987年、香川県生まれ。立教大学法学部卒業後、中越地震復興ボランティアに参加した十日町市池谷集落に移住。当時、6軒13人の限界集落で就農。中山間地の暮らし・仕事・子育てを地続きにした農業をめざし「スノーデイズファーム」を設立。2017年 ForbesJAPAN「日本を元気にする88人」に選出。地元男性と結婚し、今年6月に次女となる第2子出産。 https://snowdays.jp
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