はぐくむコラム

10歳で将来を決める ドイツの教育制度

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グーテン ターク、お元気ですか!今回もドイツの日本人学校校長時代に感じたことをお話しします。各国の日本人学校は日本同様、小学校は6年間で卒業しますが、ドイツの小学校は何年間で卒業するかご存じでしょうか?州によって若干の違いはありますが、私が暮らしていたハンブルグ州は、6歳で入学して4年間学んで卒業です。

その後は、大きく分けて3つの進路があります。職人さんになりたい人・工場などで働きたい人は「ハウプトシューレ」で5年間。事務系の仕事などに就きたい人は「レアルシューレ」で6年間。医師・弁護士などを目指す人は「ギムナジウム」で9年間学びます。日本の中学校と高校を合わせたような学校ですね。そしてその後、大学(4年生)に入り、専門性を身につけます。

つまり、小学4年生、10歳のときに、将来の進路を考えなければならないのです。早くないですか。わずか10歳ですよ!

さあ大変!子どもも親ものんびりしてはいられません。親や家族は、必死になって子どものことをよ~く見ます。この子は何が好きなのか、どんな長所があるのなどなど。子どもも必死です。自分は何をやりたいのか、かなえたい夢は何なのか。

日本の小学生が思い描く「将来はサッカー選手になってワールドカップに行きたい」というレベルではないのです。もちろん、そうした大きな夢を持つことは大切ですが、もう一方で現実をよく見て、考えるのです。「将来何をするかは大学の4年間で考えます…」という日本とは大違い。大学へは、学問を本当に身につけたい人、専門分野をより深めたい人だけが進むのです。

10歳で大きな決断を迫られるドイツ…。過酷にも思えますが、「適材適所」の考えが浸透しているのです。「勉強が得意でなければ、早く手に職をつけましょう」そんな考え方です。

ドイツは日本と同じく、物づくりの国ですよね。「マイスター制度」が残っていて、職人さんがとても尊敬される国でもあります。こうした風土も「10歳の大決断」に影響しているのかもしれませんね。

 

今回ご紹介する一冊は、「いいこってどんなこ?」

(ジーン・モデシット文 ロビン・スポワート絵 もき かずこ訳 冨山房)

「いいこってどんなこ?」ってお子さんに聞かれたら、あなたはどう答えますか?素直な子…、きちんとしている子…、勉強する子…、それとも。

ウサギのバーニーが「ぜったいなかない子?」「つよい子?」「おこりんぼじゃないよね?」などと次々に尋ねたときに、お母さんはどう答えたのでしょう。「バーニーはバーニーらしくしていてくれるのが、いちばんよ。だっておかあさんは、いまのバーニーが大好きなんですもの」

すてきなお母さん。子どもを丸ごと受け入れて、抱きしめてくれるお母さん。子どもは安心して、自分を信じてこれからの人生を生きていくのではないでしょうか。

6月29日(土)あさ9時~BSNラジオ「大杉りさのRcafe」放送予定

この記事のWRITER

倉品章(三条市在住・読書アドバイザー)

倉品章(三条市在住・読書アドバイザー)

1949年・長岡市生まれ。新潟大学卒業後、県内小学校に勤務。ドイツ・ハンブルグ日本人学校長、三条市立裏館小学校長など国内外の教育現場を経験。定年後「あきジィ」の愛称で読み聞かせボランティアを実施。中高年向けに「読書のススメ」講演も。現在:JPIC読書アドバイザー、三条市社会教育委員など。
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