皆さんは、アフリカ大陸にはいくつの国や地域があるかご存知でしょうか?アフリカ大陸には、日本が承認していない国(西サハラ/サハラ・アラブ民主共和国)を含めると、55の国や地域があります。アフリカは東部、西部、南部、北部、中部の5つのエリアに区分され、約6,200人の日本人が暮らしています。日本のSDGsアクションプラン2023には、「TICAD※プロセスを通じ、アフリカにおけるSDGs各ゴールに関連する取組のモニタリングやフォローアップを実施する」と記載されており、日本とアフリカ、そしてSDGsの関係が非常に深いことがわかります。
※TICAD(Tokyo International Conference on African Development):アフリカ開発会議。1993年から日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、アフリカ連合委員会(AUC)、世界銀行と共同で開催されています。
アフリカは、地理的に遠い存在と思われるかもしれませんが、実は私たちの生活と非常に身近な存在です。私が子どもの頃に読んだサン=テグジュペリの「星の王子さま」はサハラ砂漠が舞台ですし、私たちが日常的に食べるタコはモーリタニア産だったり、飲むコーヒーはエチオピア産やケニア産だったりします。ガーナ産のチョコレートを食べたことがある方も多いのではないでしょうか。
先日、ユネスコの会議「UNESCO Chairs and Partners Forum(ユネスコチェア・パートナーズフォーラム)」がエチオピアのアディスアベバで開催され、本学はユネスコチェアとユニツインネットワークの2つのプログラムを持つ大学として参加しました。会議のテーマは「Transforming Knowledge for Africa’s Future(アフリカの未来のための知識の変革)」で、アフリカにおける学際的・共同的研究を強化することを目的として、基調講演やパラレルセッションが行われました。
科学技術イノベーション(STI)に関するセッションでは、SDGsやアフリカのアジェンダ2063をサポートするために、実践的な技術者の重要性を強調しました。また、別のセッションでは、Well-being(ウェルビーイング)について議論が行われました。そこで、ジンバブエの学生から教育現場の厳しい現実を直接聞く機会があり、その過酷な状況に一瞬言葉を失いました。教育を受けるどころか、性犯罪やドラッグ、殺人などの問題が日常的に存在し、教育を受けられる環境自体が整っていない現状に驚愕しました。
ユネスコ関連の国際会議に参加するのは今回で2回目ですが、以前お会いした方々との再会や、新たな国々の方々との交流を通じて、非常に貴重な経験を積むことができました。日本だけでなく、世界の現実を知ることが、SDGs達成に向けた新たな視点を得るきっかけになると改めて実感しました。
日本は、アフリカの未来と人々の幸せに貢献するために、貧困の解消を目指して国際機関、NGO、民間企業と連携し、積極的に支援を行っています。例えば、UNDPと国際協力機構(JICA)は、TICADのプロセスを基に、アフリカ開発をテーマとした対話型イベント「AFRI CONVERSE(アフリコンバース)」を共催しています。今年8月に開催された第19回アフリコンバースでは、長岡技術科学大学も共催機関として参加し、アフリカの開発課題について有識者や若手イノベーターがパネル形式で議論するイベントを実施しました。今後も本学はアフリカの国々(ケニアやマダガスカルなど)に対して、工学の視点から継続的にサポートを提供していきたいと考えています。
次回は、前回の続きとなる、放送・通信インフラの「ラジオ」についてお話ししようと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。10月19日は、長岡市在住で長岡技大国際産学連携機構 特任講師/主任UEA の 勝身 麻美さんです。お楽しみに。