SDGs de はぐくむコラム

父子手帳とパパスイッチ

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「父子手帳」をご存じでしょうか?

「母子手帳」なら聞いたことありますよね?現在、子どもを授かるとママは「母子手帳」をもらいます。だいたい妊娠 10 週目以降になるともらえます。

母子手帳の中身は、

・妊婦さんの健康状態や妊娠中の経過記録

・出産状態と産後経過

・乳幼児の発育等記録

・予防接種や歯科検診記録

・健やかな妊娠・出産・育児のためのアドバイス

・妊娠期の注意

・妊産婦の栄養の取り方

・新生児についての注意

・育児のポイント

・母子保健に関する制度紹介

などが記載してあり、もらった時からママはスイッチが入り、いよいよママになる準備が始まります。この時期から、母子手帳やインターネットなどで情報を集め、ママはママらしく出産育児の準備を始めます。

出産までの約10か月間で、”女性”から”ママ”に変わっていくスイッチが入るんですね。では、パパはどうでしょうか?

お気づきかと思いますが、母子手帳の中身にはパパにも重要なことも記載してあります。私もママがいけない時に、子どもの検診に連れて行ったことがありますが、パパなのに母子手帳を持参して検診に行きます。

余談になりますが、当時、男性は私一人ででした。まだまだパパの育児が浸透していないと感じた瞬間でした。そして、母子手帳は、本来は「母子父子手帳」もしくは「親子手帳」とあるべきなのでは?という疑問がわいてきます。

自治体によりますが、母子手帳には基本的に「母」と「子」の名前しか記載されません。父親が子育てに関わろうと思ってはいるけど、社会的な認識としてはまだまだ…。母親だけが妊娠・出産・子育ての主体であるかのような事例はたくさんあり、父親として一緒に子育てに関わりたいと思ってはいても、くじけてしまう…そんな現状なんです。

新潟市江南区のパパノート

そこで、私たちファザーリングジャパンや地域の方々による提言により、「親子手帳」や「父子手帳」を作成し始める自治体は多くなりました。
新潟市も区によっては、「パパノート」を作ったり、私たちが関わった新発田市のように父子手帳の作成、配布が始まったところもあります。
父子手帳をもらうと、パパスイッチが入るかと言うと、それだけではないのかもしれませんが、大きな一歩になることは間違いありません。

新潟市西蒲区のパパノート

パパもママ同様、子どもが生まれてから親としての意識をするのではなく、親としてのスイッチを入れるのは早ければ早いほど良いと思います。多くのパパは、子どもが産まれてからもスイッチが入らず、育児に携われずに、子どもが成長するまで子育てのスタートが切れずに、ママに頼りっきりになってしまう…、いわゆる”ママのワンオペ育児状態”になりやすいんです。

日本の育児休暇取得率の推移 赤:女性  青:男性

最近では法改正も行われ、男性も育児休暇も取りやすくなり、男性の育休取得率もアップしてきました。あと 10 年もすると男性も育休取得が当たり前の社会になりそうです。今年4月から新たに、「男性の産休」と言われる制度改正もあり、乳幼児期に男性も育児に参加したり、直接的な育児ではなくても、乳幼児期の母親の大変さを身近で見たりすることで、「手伝う」のではなく「主体的に育児や家事に携わるスイッチ」が入り、親として自覚を持つことができるのではないでしょうか。
子どもを授かった瞬間からパパのスイッチを入れて、子どもを授かった喜びを感じ、もちろん苦労もたくさんありますが、親となった特権の期間限定プロジェクトを楽しんでみませんか!
パパが笑顔になれば、ママも子どもも笑顔になること間違いありませんね。

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
5月14日は、大堀正幸さん のお話をお楽しみください。

この記事のWRITER

大堀正幸(新発田市在住・ファザーリングジャパンにいがた顧問)

大堀正幸(新発田市在住・ファザーリングジャパンにいがた顧問)

1973年 新発田市生まれ。大学卒業後、家業のリフォーム業を継ぎ28歳で社長就任。早くから働き方改革やワーク・ライフ・バランスに取り組み、業務効率化に成功。NPOファザーリングジャパンの新潟地区や新潟イクボス企業同盟を設立。2児の父親。 現在:新潟市男女共同参画審議委員 新発田市子供子育て会議委員など。
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