SDGs de はぐくむコラム

いのちの島ボルネオから考える「つくる責任 つかう責任」

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ボルネオ島*1を知っていますか。「オランウータンがいる島」のイメージがあるかもしれませんね。オランウータンのような希少な動物をはじめ、多様な動植物の生命が循環していく源になっているのが島の熱帯雨林です。

ボルネオ島に生息するテングザル(筆者友人提供)

この熱帯雨林の木々が近年、大量に伐採されています。業者や政府が、訪れたこともないその土地を住民の意思を聞くこともせずに次々と売却していくのだそうです。この問題の背景に私たちの生活が深く関係している…ということをどのくらいの人が知っているでしょうか。

「我々の木々はどこに行くのか?」

先日、ボルネオ島の先住民(インドネシアのダヤク族)が伐採された木のゆくえを追うドキュメンタリー作品*2を観ました。森と共生しているダヤク族にとって、森はまさに「いのち」の場であり、伐採は生態系の破壊にもつながります。「なぜ」という思いでみていると、木々がたどり着いた先を知り、二重の衝撃を受けました。一つは、「日本だったのか」という衝撃、もう一つは、「知ったつもりの無知」である自分への衝撃です。

ボルネオ島と聞くと私のイメージは、オランウータンに加えてもう一つ、「パームヤシ(アブラヤシ)」がありました。しかしながら、パームヤシのプランテーション農園があることを知っていながらも、「そのために伐採された木はどこへ?」という疑問をもたずに過ごしてきたことに気がつきました。ましてや、その伐採された木々の多くが日本に輸出されていたとは。さらには、パームヤシからとれる油は私たちの身近な品々に使われています。生産量を増やすために労働力が必要とされ、住む場所を失ったダヤク族をはじめとした現地住民がパーム農園で不当に働かされます。そう考えると、ボルネオ島で行われている開発は、誰にとっての「豊かさ」なのだろうと考えさせられます。

パームヤシの木 ボルネオ島にて (筆者友人提供)

先述の作品の中では、「私たちは問題意識をもちながら買い物をすることが大切です」と触れつつも、サプライチェーンが複雑化しすぎていて、消費者自身で環境にやさしいかどうか判断できない状況にあり、「全てが消費者の責任ではない」という話もありました。グローバル化は多くの便利さを生み出しましたが、より安価な材料、より安価な労働力を求めた結果、現在のような世界構造や地球規模の課題も引き起こしています。

「失うのは森だけでなく、地球に住まう人間の姿も忘れてしまう」

ボルネオ島で暮らす先住民族はそう嘆いています。

憤りを感じる一方で、小さな店(地域に根付いたお店)ほど、サプライチェーンは目に見えるということにも気がつきました。

少し前に、長岡市内の家具店*3で、いちょうの木から作られたまな板を購入しました。「長く愛用してもらえる良い家具を作りたい」と語ってくださる店主は、時代に左右されないデザインや家具の構造を重視し、無垢材を使った「シンプルさ」を大切にしています。話をうかがうと、「最近は魚沼のブナ(スノービーチ*4)などを家具に使用し、地元の山の再生の一助になればという思いで国産材を使っている」ということも教えていただきました。

作り手が見える、長く大切に使える、地球にやさしい。
これらが、「つくる責任 つかう責任」を果たすキーワードになりそうです。

(参考)

*1 インドネシア、マレーシア、ブルネイの3カ国の領土である東南アジアの島。インドネシア語ではカリマンタン島と呼ぶ。
*2 映画『UPROOTED』(2021年、製作国ドイツ)
*3 nine /九里家具製作所 https://nine-furniture.jp/
*4 スノービーチプロジェクト https://storio.jp/blogs/action/snowbeech

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
5月27日は、にいがたNGOネットワーク国際教育研究会RING企画副委員長の関 愛さんです。お楽しみに!

この記事のWRITER

関 愛(長岡市在住/にいがたNGOネットワーク国際教育研究会RING企画副委員長)

関 愛(長岡市在住/にいがたNGOネットワーク国際教育研究会RING企画副委員長)

高校教員時代に、日本国際協力機構(JICA)による教師海外研修に参加し、ブータン王国へ。その後も、国内や海外へ飛び回りながら知見を広げ、国際理解教育/開発教育の実践力向上を図ってきた。現在は、新潟県キャリア教育連携促進事業(出前講座)や総合学習コーディネーター等を通じて、学校の「外」から教育に関わりながら“持続可能な社会の創り手“を育むべく活動を展開している。旅好きな性格。家庭では、小学生男児の母として、子育てという「人生の旅」を楽しみ中。
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