SDGs de はぐくむコラム

持続可能なファザーリング式PTAとは③~本格的な改革に着手、改革を実感する役員が…~

SNSでシェア

いよいよ第3ステージとなった改革の令和3年度。PTAとはいえ、それなりの大きな組織であり、持続可能性のある組織にしていく必要があります。組織論の原点を見つめながら、「そもそも成り立たないよね?」という問題点を洗い出し改革を進めなければなりません。

「そんなことわかってるよ!」と思われがちですが、PTAはボランティア組織です。1年だけ義務感の中、「役員をやれば終わる」という意識で活動する方がほとんどですので、PTA組織を将来にわたり持続していこう!という活動や組織改革、改善が起こりにくいことも事実です。(ですが、過去の資料を見たときに、改善をした先輩たちがいらっしゃったことはとても感謝しています)。

はっきり申し上げると、こういう改善・改革はかなり面倒な作業になるので、ボランティアとしてやるには、相当、強い思いや覚悟が必要です。そして1年程度では終わるはずはなく、複数年で取り組まなければいけません。

まずは、全体の資料や流れ(フロー)、組織体制や役割分担を理解し、全体的に改革を行い始めました。

大きな改革の方針として、テーマ「誰でも参加したくなる魅力あるPTAを考えよう!」そして、「ゆったりPTA活動を楽しもう!」を掲げました。それには、

1、 「役員」をよく理解してもらい着任してもらう(これが今までは説明が足りないまま強制任命であったので、やりたい人もやりたくなかった人も、思ったより大変だった、日中活動がとても多くて仕事や生活に支障が出た…などが多くなる大きな原因)

2、 案内文章などの案内文作成作業、印刷作業など、学校に数度も来なければいけないことを、ITや安心メールなどを活用し大きく削減(仕事に支障がある日中活動の削減)

3、 事業や業務などはチームでの助け合いで、個人負荷を減らす(例えば、書記や会計や委員会活動も、正副会長がバックアップしたりする、その逆もあり。縦割り組織の改善)

4、 会議や、講演会イベントをオンラインで開催したり、動画での配信を行う(出席できない人や参加が仕事で難しい人でもPTAに関わっているという気持ちを持ってもらうために、誰一人として、置いていかない組織の意識)

5、 PTA活動室にあるPCにすべての資料が入っていて、文章作成が学校へ行かないとできなかったことを、PTAのクラウドを設定しデータを移行する

以上の方針で進むこととしました

全てを説明できないので主な取り組みをここから説明していきたいと思います。

まずは「PTA役員とはどんなものなのか?を説明するにはどうしようか?」を考えましたが、結構シンプルでした。

今までは、紙を使った案内文章でしたので、シンプルに説明せざるを得ず、過去の役員の方も苦労したと思いますし、「これでしょうがないよね…」というあきらめにも似た役員募集にならざるを得なかったのではないかと思います。

でも…。今の時代ですから、案内文章にもこだわりました。QRコードを張り付けて、資料を見てもらえるようにできるようにしました。こういう事で、資料を充実させて、しっかり役員とは?を説明できるようになったのです。

資料の最後には「意義」も盛り込み締めました。募集においても、今までの白黒・活字のみの募集案内ではなく、一般的には大きな反響を及ぼす案内はわかりやすく目立たせることが基本だと思い手作りですがこのような案内を作成し配布したのです。

このようにしっかりとしたPTAとしての説明責任を果たし、各役割の具体的な改善手法を明記して、大きく負担が減ったことをお伝えしました。すぐには大きな反応はありませんでしたが、後ほど役員経験者アンケート(後述)には、作業量とのギャップについて大きく改善できたことがわかりました。

データ資料の共有に関しては、PTAの「Googleアカウント」を作成して、Googleのサービスを活用できるようにしました。新規の役員さんには、Googleアカウントを作成してもらい、PTA代表のアカウントの「Googleドライブ」というファイル保存システムへ役員のアカウントで共有できるようになりました。(役員は活用できる人とできない人がいたのでそこの改善が課題ですね。説明会が必要とわかりました)

このように、学校に来なくても、案内文章が作成できるようになり、Googleのサービスにより、イベントの案内なども可能となり大きく業務効率化が進みました。

(ちなみにこのアカウントのパンダちゃんは、この年度の広報部長(デザイン会社の方)によりご厚意でデザインしていただきました!この場を借りて御礼を申し上げます※紫竹山なので紫と竹が大好きなパンダちゃんで作ってくれたそうです)

実際に「役員をやってみてどうでしたか?」を聞いてみました。どんな答えはくるか、ちょっとおっかなびっくりでしたが、改革を行ったPTAの評価を頂いてみたんです。

大きな批判も覚悟していました。それが…。

改革を行った当事者として、とても感動しました。泣きそうになったことは内緒です(笑)

一番うれしかったことは(ここでは紹介できませんが、役員さんからの温かい言葉の数々、改革への理解と応援のコメントに泣けました)

昨今ではPTA廃止論が多い中、役員をやってみての経験としても、PTAは必要だと思うと言っていただいた方が、66%もいたことです。

この「PTA改革」は今回のコラムで最後になりますが、改革をするだけでなく、将来も続けていくために、アンケート等で皆さんからの本質的な意見を聞き続け、さらに改善を重ねていくことがとても重要なのです。これはどんな組織にも言えることなのかもしれませんが、持続可能な社会や地域、そしてどんな組織も、しっかり当事者の話を聞き、漫然とせずに、改革・改善が起こりやすいような組織づくりを行っていけるとよいのではないかと思います。

PTAは「父親は仕事だから母親がやるもの!」として昭和の時代から今にいたるまで受け継がれていた組織論でした。それが、男女共同参画としても、今の新潟の共働き率にしても、仕事をしながらでも、生活に支障がないPTAの活動でなければ、いけないのではないでしょうか。そうすることで、魅力ある組織となり、皆さんにとって大きな負担が無く、子どもたちのために、笑顔で活動できる!そしてそんな風に楽しんでいる親を見た子どもたちこそが、大人になった時には、PTAで活躍する親になるのではないでしょうか。

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
2月3日は、ファザーリングジャパンにいがた顧問の大堀正幸さんです。お楽しみに!

この記事のWRITER

大堀正幸(新発田市在住・ファザーリングジャパンにいがた顧問)

大堀正幸(新発田市在住・ファザーリングジャパンにいがた顧問)

1973年 新発田市生まれ。大学卒業後、家業のリフォーム業を継ぎ28歳で社長就任。早くから働き方改革やワーク・ライフ・バランスに取り組み、業務効率化に成功。NPOファザーリングジャパンの新潟地区や新潟イクボス企業同盟を設立。2児の父親。 現在:新潟市男女共同参画審議委員 新発田市子供子育て会議委員など。
SNSでシェア

新着記事