はぐくむコラム

助産院で出産 次女誕生で新たな発見

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みなさんは、助産院についてどんなイメージをお持ちですか。実は、6月30日に実家の香川に里帰りをし、次女を出産したのだが、今回はいままでの人生で選択肢にあがったことのなかった助産院で出産した。どこで出産しようかなぁと考えていたとき、驚いたことに近所の人たちどの人も「ぼっこ助産院」を薦めるのだ。

そして無事に出産、退院するころには、私の死生観は全く変わってしまった。 ここが普通の助産院ではなかったのだ。デイサービスと、保育園と、鍼灸院と助産院が一体となった福祉施設で、いつも多世代が賑やかだった。スタッフのみなさんは親戚のお姉さん、おばちゃんのようで、実家にいるような安心感があった。それは電話で問い合わせをしたときから感じたことで、これまでの病院の無機質な声色とは全く異なったものだった。

そんなあたたかい雰囲気のなか、通院時から出産、退院まで、自分の産み出す力と、赤ちゃんの生きる力をどう引き出すかの知恵とノウハウを総動員して徹底的にサポートしてくれたことで、自分自身の「人間」としての力にも驚いた。無理やり産ませたものではないからか、分娩は驚くほど楽で、産後もびっくりするほど回復が早かった。

もちろん分娩台はない。普通の部屋で夫も娘も一緒に出産に立ち会い、その部屋で退院するまで夫も娘も一緒に泊まり、赤ちゃんと過ごした。その日々はかけがえのないものだった。

 

私自身も出産や育児が、隔離されたところで行われるものではなく、大切なものや、誕生や死など一見“特別”と思えるようなものが、人生や日常の延長線上にあると思えることで、不思議と精神的安定に繋がった。

 

働いているとうまくビジネスができる人、能力が高い人がもてはやされる雰囲気があるが、その土台を支えているのは、人間。豊かな「命のはじまり」を家族で迎え、豊かな「子育てのはじまり」を応援してくれるぼっこ助産院のような場所が、永遠に誕生を繰り返す社会を支えているとさえ思わされた日々だった。そして、そこに向き合い続けている、母たち。

そういった場所が地域の死生観を作り上げているようにも感じた。とたんに、同じ命(私の場合は作物の命)に向き合っているものの、自分の仕事がちっぽけに思えた。

退院する頃、ぼっこ助産院を立ち上げた助産師の1人の方がこんな話をしてくれた。「病院に勤めていたときは“産ませ屋さん”みたいだった。本当は一人一人の大切なお産に、ちゃんと向き合いたかったんだ。それで、退職後にぼっこ助産院を立ち上げて、最初の頃はお弁当持ってデイサービスに勉強にも行って」。

いくつになっても、夢は叶えられる。いくつになっても、ほしい未来はつくれる。

人はみな、産まれた瞬間から「前向き」に死に向かって生きているからこそ、私はどう生きる?新たな命の誕生とともに、そんなことを考えさせられた出産だった。

8月10日(土)あさ9時~BSNラジオ「大杉りさのRcafe」放送予定

この記事のWRITER

佐藤 可奈子(十日町市在住 スノーデイズファーム代表)

佐藤 可奈子(十日町市在住 スノーデイズファーム代表)

1987年、香川県生まれ。立教大学法学部卒業後、中越地震復興ボランティアに参加した十日町市池谷集落に移住。当時、6軒13人の限界集落で就農。中山間地の暮らし・仕事・子育てを地続きにした農業をめざし「スノーデイズファーム」を設立。2017年 ForbesJAPAN「日本を元気にする88人」に選出。地元男性と結婚し、今年6月に第2子出産予定。 https://snowdays.jp
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