SDGs de はぐくむコラム

紙飛行機と紙鉄砲

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本題に入る前に、祝!アルビレックス新潟J1昇格。今月8日14時キックオフからテレビに釘付けでワクワクドキドキしながら応援していました。
64分に伊藤涼太郎選手の芝を味方にしたグラウンダーシュート。77分にも伊藤選手のボレーが決まり、アディショナルタイムにアレクサンドレ・ゲデス選手のダメ押し1発。2017年以来6年ぶりにJ1復帰を決めました。
関東にいる娘には、テレビ通話でリアルタイム配信。感動を共有しました。祝!アルビレックス新潟J2優勝。勝因については立石氏の熱〜いトークをラジオでお楽しみください。

先日(今年はたまたま10月10日)は“体育の日”改め“スポーツの日”でした。1964年東京オリンピック開会式の10月10日を体育の日として祝日にし、2000年からは10月の第2月曜日に改正されました。

“スポーツの日”の前後に合わせて朝刊・ニュースで必ず目にするのは「体力・運動能力調査」の結果に関する記事です。Webで検索すると

「コロナ下で体力低下傾向 広い世代、運動機会減少か」(2022.10.12.新潟日報)
「スポーツ習慣ある20〜40代女性が減少 家事・育児負担が原因か」(2022.10.12.毎日新聞)
「高齢者の体力 低下傾向 運動習慣の広がり頭打ち」(2022.10.13 読売新聞)
「体力合計点が低下 体力・運動能力調査」(2022.10.13 朝日新聞)

新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度と比べて低下傾向が見られました。しかし、想像していたよりも悪い印象ではありませんでした。行動制限や行動自粛で“動けない”“動かない”状況に陥ると運動不足に危機意識を感じ、工夫して“動こう”とした結果なのかもしれません。

「体力・運動能力調査」の公表前に、小学校5年生、中学校2年生を対象とした「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」という結果が前年の12月に公表されています。
2021年度の結果のポイントは、2019年度に比べ小中男女ともに体力合計点は低下しました。

要因としは
① 運動時間の減少
② 学習以外のスクリーンタイムの増加
③ 肥満である児童生徒の増加
この3つが挙げられています。

誰が考えてもコロナウイルス感染拡大で活動に制限が掛けられていれば “当たり前の結果” です。と、思いきや「2019年度から指摘された」とあり、過去のデータを見ると確かに下降気味だった数値に、更に拍車がかかった結果でした。

種目別で観ると「上体起こし」「反復横跳び」「20mシャトルラン」「持久走」は大きく低下しています。また、「握力」「50m走」「立ち幅跳び」も中学男子以外は低下傾向でした。
2020年度の一年間は行動制限やら行動自粛などで筋力や持久力、瞬発力が低下するのも頷けます。
しかし、不思議なことに「長座体前屈」だけは概ね向上していました。

何故? と思われた方は、あの時を思い出してください。
息が上がるような運動・スポーツは控え、ストレッチ等で柔軟性を主な活動に置き換えていませんでしたか? 私自身もストレッチの動画を作成して学生にYouTubeで限定配信をしたくらいでした。小学校・中学校においても同様だったと思います。

今年の結果は例年どおりだと12月頃発表されます。2020・2021年に低下した体力運動能力がどれだけ回復しているか見守りたいと思います。

実は「ボール投げ」は過去一番で悪いけれど、特筆されていません。それは、1980年台をピークに下降傾向が続いているため、改めて指摘する必要が無いのかもしれません。
投動作は遊び機会の減少や場所の制限など社会環境の変化にともない、下降傾向に歯止めがかからない状況が続いています。

そんな過去一番に悪い「ボール投げ」を「紙鉄砲」と「紙飛行機」の遊びが救世主に成り得るのでは無いかと考えています。
※紙飛行機や紙鉄砲の作り方はWebで検索するといっぱい出てきますので参考にしてください。

紙飛行機や紙鉄砲は幼稚園やこども園、保育所での遊びとして今も行われている「伝承遊び」です。
紙鉄砲は「パン」という音の大きさを楽しむことができます。紙のサイズ(A1〜4、B1〜5)や紙質(新聞紙、広告紙、印刷・情報用紙など)によって難易度が変わるのも工夫する一つの楽しさです。
紙飛行機はどれだけ長い時間・距離を飛んだかを競ったり、真っ直ぐ飛ぶことやブーメランのように戻ってくることを楽しんだりすることができます。

この2つの遊びに共通していることは、手首のスナップと腕の振りの速さで結果が違うと言うことです。
紙飛行機の投げ動作写真を見てください。①は手首のスナップの連続写真です。②は身体全体を使った連続写真です。

①は部屋など少し狭い空間で真っ直ぐ飛ばす練習でスナップの上手な使い方が身につきます。
②は、体育館や広い空間で身体全体を使って思いっきり飛ばすことでリリースポイントや腕の振りの速さが身につきます。

同様に紙鉄砲も①と同じようにすると音が小さい。②と同じようにすると大きな音が出ます。
紙鉄砲も紙飛行機も「距離」「音」として結果が分かるので、自分へのご褒美として意欲的に取り組めます。

大学の授業では、テニスボール投げをしています。最初にどれくらい投げられたかを自己認識した後、紙鉄砲や紙飛行機を作って遊びます。紙飛行機では投げ方や腕振りのスピード、投げる角度によって距離の大小、高低が違うことを体感します。そして、紙鉄砲では、紙飛行機と同様にすることで「パン」という音の大小の違いで遊びます。全員一緒に「せーの」の合図で「パン」、順番に「パン」「パン」「パン」…圧巻です。

そして授業の終わりにもう一度テニスボール投げ。投距離が伸びたことを実感して終了します。
このように「遊び」の中にも体力や運動能力を高める要素はいっぱいあります。
ちょっとした工夫をしてみましょう。

私の目標は、6kmを速歩で50分切ることです!

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
10月22日は、新潟県立大学の伊藤巨志教授です。お楽しみに!

 

この記事のWRITER

伊藤巨志(三条市在住 新潟県立大学人間生活学部子ども学科 教授)

伊藤巨志(三条市在住 新潟県立大学人間生活学部子ども学科 教授)

1964年、三条市生まれ。日本体育大学大学院修了、新潟大学大学院博士課程修了。子どもの身体発育発達学、運動遊び、健康教育を専門に研究。県立自然科学館で「忍者アトラクション 出現!とやの城」を監修するなど、遊びの中で運動を身につける「遊育」を推奨。現在:県立大学人間生活学部子ども学科長。日本体育学会、日本発育発達学会などに所属。
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