はぐくむコラム

子どもたちと新型コロナウイルス感染症

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今年は、新型コロナウイルスで始まり、年末が近づくにつれて第3波が到来し、日本全体に危機感が再び広がってきています。こんな時こそ、正しい知識を持って冷静に対応することが必要です。現時点で、子どもに関して分かってきていることを紹介します。

小さい子どもほど大人よりも感染しにくい

これまでの世界からの報告例の分析では、子どもは大人より感染しにくい可能性が示されています。感染した大人223人のそれぞれの家族内において、どれだけコロナウイルスが家族に感染していたかを調べた報告では、子ども13人(6.1%)に感染していましたが、年齢層別にみると5歳未満では1.3%、5~9歳では8.1%、10~16歳では9.8%であり、幼い子どもほど、大人からうつされる率が低かったことが分かりました。

新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(厚労省発表)令和2年12月9日18時時点より

子どもの症状

初発症状は成人と変わりませんが、大人と比べると無症状の子どもが多く、発熱や咳は感染した子どもの半分以下にしか認めませんし、呼吸困難などを訴える子どもは稀です。大人で特徴的な症状とされている嗅覚・味覚障害は、小児では自分から訴えることが難しいこともあって実態は不明ですが、実際に訴えていた子どもの報告はあります。しかし、大人よりもかなり低い頻度と考えられています。

子どもは無症状が多く、症状が出ても軽症が多く死亡例は少ない

厚労省の発表した12月9日時点のデータでは、国内の陽性者総数が165,185人で、10歳未満は3,637人(2.2%)、10~19歳は8,992人(5.4%)でした。国内の子どもに重症者や死亡例はこれまでのところありません。また、これまでに世界から報告されたものを子どもに関してまとめた調査でも、全体に症状は軽く、重症例は4.4%、重篤例は0.9%でした。ただし、1歳未満の子どもと基礎疾患を有する子どもが入院する頻度が高かったというアメリカからの報告があります。また、中国では、年齢群を3歳未満、3~6歳、6~14歳に分けて比べると3歳未満では比較的症状が重く、3~6歳が最も軽かったという調査結果があります。いずれにせよ、子どもは無症状が多く、症状があっても軽症が多いという傾向は、世界中で同じでした。

新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(厚労省発表)令和2年12月9日18時時点より

すでに病気を持っている子どもは注意が必要

 新型コロナウイルスが感染すると重症化する可能性のある病気として、がんや生まれつきの心臓病、遺伝性の病気、糖尿病、先天性の代謝の病気、神経疾患、治療のために免疫が低下している病気、肥満などであることが分かってきています。一時期、気管支喘息を持っている子どもが重症化しやすいのではないかと心配されましたが、現時点では、そういった心配はなく、むしろ新型コロナウイルスには感染しにくい傾向があることが分かってきました。

子どものほとんどが家庭内で親から感染している

これまでの世界での報告例では、感染した子どもの75~100%が家族から感染していました。日本の最近のデータでも、約8割が家族から感染しており、その多くが親からでした。それ以外は、幼稚園・保育園や学校関係となっていますが、割合は高くありません。小さい子どもほど家の外ではほとんど感染しないので、大人が三密を避けるなど、感染対策に気を付けた生活をしていればあまり心配ないと言えます。

子どもは大人よりもまわりに感染を広げにくい可能性がある

 まだ結論を出せるだけの十分なデータが揃っていませんが、今のところ、これまでの世界からの報告例の分析では、子どもが感染源になることは大人と比べて少ないとされています。

 これから子どもにおいて注意しなければならないこと

 ウイルスは目に見えないので新型コロナウイルスによる脅威は直接的には察知できません。このようなタイプの脅威は猛烈な不安と不確実性を伴うために、個人の行動だけでなく、社会や経済、心身の健康面などにおいて広範囲に深刻な影響を与えてしまい、結果として私たちの心身に想像以上にストレスが溜まってしまいます。今回の新型コロナウイルス感染は、大人だけでなく、子どもたちの心身にも様々な影響を与え、精神的な影響が顕在化しつつあることが分かってきています。子どもの話をいつも以上にゆっくりと聞いてあげたり、一緒になって楽しく身体を動かしたりするなど、積極的にストレスを解消するように心掛けましょう。新型コロナウイルスは必ず収束していきますので、希望を持って前向きな気持ちで毎日を過ごすことが大事です。

12月19日(土)あさ9時~BSNラジオ「大杉りさのRcafe」放送予定

この記事のWRITER

田中篤(長岡市在住 長岡赤十字病院小児科医)

田中篤(長岡市在住 長岡赤十字病院小児科医)

1954年長岡市生まれ。千葉大学医学部卒業、新潟大学医学部小児科学教室に入局。以降、県内各地の小児科に勤務し、小児疾患全般のほか、小児心身症・不登校・子ども虐待・災害時の子どものこころのケアなどの診療に従事。現在:長岡赤十字病院小児科医。
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