SDGs de はぐくむコラム

「教員のための博物館の日」先生、ぜひ博物館をご活用ください!

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8月8日、熊本県水俣市で開催された「教員のための博物館の日 in 水俣」にスピーカーとしてお招きいただき、「森の学校」キョロロの博学連携の実践例についてお話をさせていただく機会をいただきました。「教員のための博物館の日」は、国立科学博物館が主導し、学校の先生に博物館に親しみを持ってもらい、博物館の学習資源を知ってもらうことを目的とした事業です。先生方を対象に博物館で様々な体験を楽しんでもらう企画が全国の博物館などで実施されており、今年度は全国約60カ所で開催されます。

前回、前々回のコラムでも、博物館と学校教育との連携「博学連携」をテーマとしました。今回熊本県からはるばる新潟の小さな博物館にお声がけいただいたのは、当館の博学連携の取り組みや、博学連携をテーマとした『はぐくむコラム』がご担当者の目にとまったことがきかっけとなりました。ご縁がつながる嬉しくも貴重な機会をいただきました。

写真:「教員のための博物館の日 in 水俣」(写真提供:熊本県博物館ネットワークセンター)

博物館には、教科書だけでは学ぶことの出来ない授業に役立つ学習資源がたくさんあります。また、学芸員など専門家から直接話を聞くことが出来る機会も魅力の一つです。当館でも展示やフィールドを活用した多彩な学びの機会を、授業や部活動で活用していただいており、博物館で自然の不思議さ・楽しさ、そして学びを深めることの楽しさを感じてもらいたいと、様々な学校教育支援を行っています。今回の講演では「Q.博学連携は子どもたちの多彩な学びをどう生み出せるのか?」を大きなテーマとして、当館での実践例や成果・課題などを中心にお話をさせていただきました。

写真:高校生による探究活動の例

博物館を授業で使うにあたり先生方は、「移動、費用、時間割のやりくり」などのハードルを感じられていることも少なくなく、博学連携の推進には博物館側のアピールだけではなく、現在の先生方の多忙ぶりからしても先生(学校)側のニーズの把握や理解は欠かせません。加えて、博物館を活用してみようと思った理由や背景を先生に聞いた調査(※)からは、学習指導要領に書いてあるから、本物の資料があるから、専門家の解説ある・資料の貸し出しがあるから、丸投げできるから、など多種多様なニーズがあることもわかります。先生(学校)側が抱える課題、そして博物館に求めるニーズを把握することは、効果的な博学連携を進める上での一つの大きなキーワードと考えられます。
※八田(2022)学校と博物館の新たな関わりを模索する-博学連携から地域総がかりへ-.古代体験研究フォーラム2022「ミュージアムと学校向けプログラム」事業実施報告書

概括的に言えば博物館は「社会教育」を、学校は「学校教育」を担います。利用者の自主的な学びを支援する社会教育と、体系的な教育を組織的に行う学校教育が、それぞれの教育機能を活かして連携・協働することは、子どもたちの実践的な学び場として期待されています。今後も子どもたちの多様で豊かな学びの実現を、地域の博物館として支援していきたいと思います。

写真:小学生の校外学習の例

今回コラムでは先生側の視点もご紹介しながら、「博学連携」の在り方をテーマとしました。「教員のための博物館の日」は毎年全国各地の博物館で開催されています。先生方にとって、校外学習に役立つヒントや様々な教育コンテンツに楽しく触れることができる機会です。子どもたちに学ぶ楽しさや喜びを知ってもらうために、まずはその教育を担う先生方に博物館を親しんでいただければと思います。

先生、ぜひ博物館を授業でご活用ください!

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。9月14日は、越後松之山「森の学校」キョロロ 学芸員の小林誠さんです。お楽しみに!

http://立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2024/09/14/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20240914100000

 

この記事のWRITER

小林誠(十日町市在住 越後松之山「森の学校」キョロロ 学芸員)

小林誠(十日町市在住 越後松之山「森の学校」キョロロ 学芸員)

1980年、長岡市生まれ。北海道大学大学院環境科学院博士後期課程修了(環境科学博士)。大学時代は北海道をフィールドに北限のブナ林を研究。現在、十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ学芸員。里山の生物多様性をキーワードに教育普及、体験交流、観光や産業などの側面から、地域博物館を活用した地域づくりに挑戦中。2児の父親。
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