はぐくむコラム

夏休みにもお勧め「おうちでミュージアム」

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前回のコラムを執筆した直後、私が学芸員を務める「越後松之山 「森の学校」 キョロロ」は4月18日から新型コロナウイルス感染拡大防止のため臨時休館となりました。例年、ゴールデンウィークは新緑まぶしい季節が始まり、多くの来訪者が訪れます。館内には子どもたちの声が響き、野外では自然観察イベントが連日開催されました。里山が賑わい、心躍る季節が始まるはずが、今年はとても静かな春。例年、玄関に巣をかけるツバメも、人がいないせいか今年は巣をかけませんでした。

越後松之山 「森の学校」 キョロロ

キョロロ同様に全国のミュージアムが休館を余儀なくされました。多くの子ども達やミュージアムファンは「行きたくても行けない」状況となり、休校や外出自粛のため自宅で過ごす時間が多くなりました。そんな中、全国の休館中のミュージアムは、SNS上で「#エア博物館」「#おうちミュージアム」「#自宅で博物館」などのハッシュタグを使い、ミュージアムファンに向けた積極的な情報発信を行いました。北海道博物館が全国のミュージアムに呼びかけた「おうちミュージアム」という取り組みでは、全国211のミュージアムが参加し、子ども達が自宅で楽しみながら学べるコンテンツを紹介しています。

おうちミュージアム←クリック!(全国211ミュージアムの取組み)

まだまだ収束の兆しが見えないため、外出自粛や移動制限要望により、遠出が難しい方や外出や移動に不安もある方もいると思います。おうちミュージアムでは自宅で子どもたちが楽しみながら学べるミュージアムのたくさんのアイデアが集結しています。自宅でも楽しめるコンテンツの一つとして、全国のミュージアムをぜひ巡ってみてはいかがでしょうか。

キョロロもこのおうちミュージアムの取組みに参加し、主にFacebookやTwitterといったSNSで「里山の生き物クイズ」を配信し、YouTubeでは自宅で子どもたちが楽しめるペーパークラフトやお庭でも出来る自然観察の楽しみ方などを紹介しました。

「里山の生き物クイズ」では、

「Qスズメバチの額にある3つの小さな点の正体は何?」

「Qカモシカは何の仲間?」

などの里山の生き物に関するクイズを配信したり

(それぞれ答えは眼とウシ)

遠出せずとも自宅周辺で昆虫観察ができるテクニックを紹介したり、子どもたちに少しでもおうち時間で自然を楽しんでもらえるようなコンテンツを紹介しました。また、例年新緑を楽しまれる観光客で賑わうブナ林「美人林」も閉鎖となったため、YouTubeで新緑の様子などを映像配信する「おうちで美人林」という取り組みも始めました。

「今はキョロロには行けないけれど子どもと一緒に自宅で楽しんでいます」といった声をたくさんいただき、このような非常事態の中で地域のミュージアムが子どもたちに出来ることは何だろう?を考える大きな機会にもなりました。

おうちミュージアム(「森の学校」キョロロ)←クリック!

さて、休館の後は待望の再開です。キョロロでは5月23日(土)から新潟県民限定で開館し、7月1日(土)からは通常開館となりました。「再開を心待ちにしていました」という声に、私たちスタッフはとても元気をもらいました。利用に関しては「マスクの着用」「ソーシャルディスタンスの確保」「手指消毒」など、来館者にお願いしなければならない事項が結構あります。子ども達にもわかりやすく、かつ自然科学館らしくこのお願いをお伝えできないだろうかとスタッフで話し合い、キョロロではマスクをしたクワガタが「マスク着用」をお願いし、2mほどのヘビの抜け殻を使用して「アオダイショウ1匹分離れよう!」とソーシャルディスタンスの確保をお願いし、前脚をこすり合わせるアブの映像を使い「手指消毒」のお願いをしています。

このようにミュージアムの利用は、まだまだ来館者に安全に楽しんでもらうための「お願い」や制約がある中ですが、安全に楽しく学べる工夫を慎重に丁寧に探りながら、ミュージアムで子どもたちの学びを確保していきたいと考えています。

地域のミュージアムは、誰もがいつでも望めば気軽に地域の文化・自然などに触れることが出来る場所です。子どもたちが興味・好奇心の芽を育めるよう様々な工夫をしながら、コロナ禍のミュージアムの楽しみ方をサポートしていきたいと考えています。

この記事のWRITER

小林誠(十日町市在住 越後松之山「森の学校」キョロロ 学芸員)

小林誠(十日町市在住 越後松之山「森の学校」キョロロ 学芸員)

1980年、長岡市生まれ。北海道大学大学院環境科学院博士後期課程修了(環境科学博士)。大学時代は北海道をフィールドに北限のブナ林を研究。現在、十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ学芸員。里山の生物多様性をキーワードに教育普及、体験交流、観光や産業などの側面から、地域博物館を活用した地域づくりに挑戦中。2児の父親。
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