はぐくむコラム

農業と共生 ママになって気づいたこと

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はじめまして。十日町市で「スノーデイズファーム」という農園をしております佐藤可奈子と申します。香川県から大学進学で上京し、卒業後に十日町に移住、就農して早9年目に突入しました。いまは3歳の娘と、6月に生まれる予定の子がお腹のなかにいます。

現在、メインに手掛けているのは「とろ蜜干し芋」 世代によっていろんな料理にアレンジができる万能な干し芋です。どこかで出逢ったことはありますでしょうか。

私たちの農園は、中山間地域の「くらし・しごと・こそだて」を地続きにした農業を通じて、「わたし」にフィットするしあわせの形をつくることを目的としています。メンバーは、農家だけではなく、保育士・管理栄養士・建築士など多様な職能を持ったメンバーで取り組んでいます。

今のような形になったのは、私自身、出産を機に「こどもの育ちの瞬間に立ち会える、暮らし方、働き方がしたい」と願うようになったのがきっかけでした。

それまで独身時代は、男性と同じステージに立ち「拡大してゆく農業」を必死に考えていました。「しごと」だけの世界です。 ところが、大きな壁にぶつかりました。

結婚・出産を経て、私自身が持続可能でなくなってしまいました。その原因は「くらし・しごと・こそだての分断」でした。体力的・時間的制約も増えて、求められる事業計画が描けなくなり、仕事や地域とのコミュニケーションにも支障が出るようになって、限界を感じました。

そんな中でも、娘を連れての農業は、本当に楽しく幸せなひとときでした。地域の方々や家族にも支えられ、農業や農村には、作物をはぐくむ力だけではなく、こどもをはぐくむ力、生き方をはぐくむ力があるのだと、痛感しました。農業や農村から生まれるものから、私自身、たくさんの子育てのヒントもいただいてきました。

農業が生む、作物をはぐくむだけじゃない価値も届けたい…。そのためには農家だけの視点ではだめで、いろんな職能の方々の視点を盛り込みたい。そんな思いで、いまの農園の形になりました。

“時代の変化”が速くなり、「仕組みが理解できないことが増える世界」より、雪の合間、背中をあたためてくれる柔らかい日差しの中、芋や米など、存在する確かなものを手にして、時間の流れのままに。そんな等身大な暮らしのほうが、心地いいことに気づきました。こどもにとっても、生物、作物の生き死にや、季節の変化に触れ、「わけのわかるもの」があるから腑に落ちる、という感覚があるのでしょう。そうやって、手探りで、娘も娘なりに世界を理解していっているのかな、と見守っています。

まだまだ悩むことのほうが多いですが、試行錯誤しながらも、この地でしあわせの形を作る大人たちのワクワクな背中を、これからの地域をつくるこどもたちに示していきたいです。このコラムでも、一緒に考えたり、悩んだり、一方自然や農業からの学びから一筋の光に出逢ったり、そんな時間を共有できれば幸いです。

 

BSNラジオ「大杉りさのRcafe」5月18日(土)放送予定

この記事のWRITER

佐藤 可奈子(十日町市在住 スノーデイズファーム代表)

佐藤 可奈子(十日町市在住 スノーデイズファーム代表)

1987年、香川県生まれ。立教大学法学部卒業後、中越地震復興ボランティアに参加した十日町市池谷集落に移住。当時、6軒13人の限界集落で就農。中山間地の暮らし・仕事・子育てを地続きにした農業をめざし「スノーデイズファーム」を設立。2017年 ForbesJAPAN「日本を元気にする88人」に選出。地元男性と結婚し、2019年6月に次女となる第2子出産。 https://snowdays.jp
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