SDGs de はぐくむコラム

先入観・固定観念・偏見を捨てよう!

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「はぐくむコラム」の仲間入りをさせていただきます、長岡技大の勝身麻美です。SDGsの普及・啓発やイベント等の企画、国際的な産学連携を通じた人材育成や、技学教育の世界展開等を担当しています。どうぞよろしくお願いいたします。

“アンコンシャス・バイアス”という言葉が注目されています。日本語だと、“無意識な偏見や無意識な思い込み”と訳されます。ほとんどの方が、この“アンコンシャス・バイアス”を持っていると思われます。

「女の子はロングヘアーでパステルカラーが好き」「男の子は理系に強くて力持ち」そんな先入観はありませんか?私が小さい頃は、よく緑色の服を着ていたので、男の子に間違えられたそうです。小学生からずっと道場に通って柔道の稽古をしていたので「男勝り」と思われていました。実際、高校半ばまでは「柔道では男に負ける気がしない!」と思っていましたし…。理科や体育以外の教科は無くなってしまえ!とも思っていました。なので、私は「理系に強くて力持ち」となります。そういえば、実家が呉服店なので、古典の先生からは「お前は古典ができる環境なのになんで出来ないんだ!」とも言われました(名誉のために、古典の先生は好きでした!)。

何故、アンコンシャス・バイアスを無くす必要があるのでしょうか?一つ挙げると「その人の可能性・潜在能力を消してしまう」という事です。どんな学問分野でも、職業でも、性別やバックグラウンド(背景や経歴など)に関係なく、自分が「この分野が好き、この場所なら輝けるかも」と思うことをするべきだと考えています。リケジョ(理系女子)やドボジョ(土木女子)やイクメンという言葉が存在していますが、本来、このような言葉は生まれてこないはずなのです。日本は、ジェンダーギャップが極端に大きく(もちろん、生物学的な性差ではなく、社会的・文化的に形成された性差のギャップを指します。女人禁制の地とか、歴史を考えなければならない場面もあります)、早急な対応が求められていますが、まずは、この「アンコンシャス・バイアス」を除く事が必要だと思います。

私は、常にSDGsの普及・啓発活動を通じて「理科離れ」を食い止めたいと思っています。性別に関係なく、理工学分野に進む学生は全体の2割を下回ります。女性の研究者に焦点を当てると、日本だけでなく世界的に見ても理工学分野の女性研究者率は3割以下となります。理工学分野では活躍出来ないと思う人や、例えば、工業系の技術職分野は最初から女性は対象ではないと感じていることが原因なのではと思っています。実際、親から「〇〇なんて男がする職業だ!」と言われた学生に会ったことがあります。子どもの可能性を信じ、伸ばすためにも、アンコンシャス・バイアスを捨ててみませんか?

私が勤める長岡技術科学大学は、国連アカデミック・インパクトからSDGsのゴール9の世界ハブ大学に2期連続(3年間×2)で任命されました。ゴール9(産業と技術革新の基盤をつくろう)は、日本の技術科学立国を復活させるために、基礎研究や応用研究からイノベーションを創出し、経済発展と社会的課題の解決を両立させることに関連します。このコラムでは、「SDGs」「工学」「科学」「技術」にまつわる話をしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

 

この記事のWRITER

勝身 麻美(長岡市在住 長岡技術科学大学 SDGs推進室員)

勝身 麻美(長岡市在住 長岡技術科学大学 SDGs推進室員)

1973年 東京都生まれ、高知県育ち。理学博士。初・中・高等教育に従事、一般企業勤務(海外)を経て、現在は長岡技大国際産学連携センター所属のUEAとして、学長からSDGs企画・立案・推進スペシャリストとして特命を受ける。令和3年度科学技術分野 文部科学大臣表彰科学技術賞。
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