SDGs de はぐくむコラム

つくる責任 つかう責任 あなたの責任!?

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人類の文明史の画期をなす出来事といえば諸説ありますが、紀元前8000年頃メソポタミア地方で始まったとされる農業革命(食料生産革命)と、18世紀後半のイギリスにおいて綿工業の発達によってもたらされた産業革命と言われています。狩猟生活から定住生活へと移行し、世界各地で文明が発展しました。生産における技術革新と経済成長は、産業の急速な発展と消費の拡大をもたらしましたが、一方で、環境汚染による健康被害が顕在化してきました。

世界中の有識者が集まって設立されたローマクラブが1972年に発表した研究報告書「成長の限界」では「このまま人口増加や環境汚染などの傾向が続けば、資源の枯渇や環境の悪化により、100年以内に地球上の成長が限界に達する」と警告し、世界経済の崩壊と急激な人口減少が2030年までに発生する可能性があると推定されました。未来の地球の暗いシナリオに世界が衝撃を受けたことは容易に想像できます。

人々の暮らしを豊かにし守るために、技術者が構想して設計した人工物による重要な事件や事故が多発し、環境保護と消費者保護運動が活発化するようになりました。そのため、1970年代以降に技術者に対する倫理教育が行われるようになり、技術者は人々の生活の質を高めるために持続可能な開発を促進するだけでなく、地球環境問題についても熱心に励むことが求められました。

地球環境問題への対応は技術者だけでなく、私たち自身にも求められています。昨年、SDGs普及を目指した活動の一環として、長岡市郷本海水浴場にて「海岸清掃×学び」を実施しました。海や科学について学ぶことをコンセプトに、地域のゴミ出しルールを考慮した上で分別をしながら海岸清掃活動を行いましたが、さまざまなごみの種類に驚くと同時に、人海戦術による海岸清掃だけでは全てを片付けることは不可能だと愕然としました。故意に埋められていた“毛布に包まれたバーベキューセット”には衝撃を受けました。炭は砂浜に捨てても自然に還ることはありません。アルミ製品等の焼き網は自然に還らないどころか、誤って踏んでしまった場合は、他人を傷つける行為となります。人としてのモラルはどこに消えたのか・・・とても悲しい気持ちになりました。

魚を捕る用具や、割れ物や引火性等の危険物、ペットボトル、プラスチック製品、マイクロプラスチック(紫外線や波の影響で劣化していったプラスチックのうち、5mm以下のサイズになったもの)などの漂着物や、明らかに不法に投棄したものなど、「陸」から運び込まれたものが多くありました。

陸のごみは、私たちが普段生活している住宅付近の水路や川へと流れ出し、やがて海へとたどり着きます。プラスチックの海洋流出量の8割は河川から運ばれているという研究成果もあります。普段生活している「陸」が「海」を汚していることがよくわかると思います。あなた(つかう側)の行動が海洋ごみの削減に繋がります。

ごみを減らすポイントとして「7つの行動=7R」
Rethink(リシンク)
Refuse(リフューズ)
Reduce(リデュース)
Reuse(リユース)
Repair(リペア)
Re-gift(リ-ギフト)
Recycle(リサイクル)
があります。

最近では、10Rや18Rもあるとも言われますので、あなた(つかう側)からも海洋ごみを積極的に減らし、地球環境問題へ貢献することで、未来の地球の明るいシナリオを一緒に作りましょう。

  

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
9月3日は、勝身麻美さんです。お楽しみに!

この記事のWRITER

勝身 麻美(長岡市在住 長岡技大国際産学連携機構 特任講師/主任UEA)

勝身 麻美(長岡市在住 長岡技大国際産学連携機構 特任講師/主任UEA)

1973年 東京都生まれ、高知県育ち。理学博士。初・中・高等教育に従事、一般企業勤務(海外)を経て、 現在は長岡技大国際産学連携機構所属の特任講師/主任UEAとして 、学長からSDGs企画・立案・推進スペシャリストとして特命を受ける。令和3年度科学技術分野 文部科学大臣表彰科学技術賞。
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