2021年の新語・流行語大賞には「SDGs」がノミネートされました。各種調査でも、SDGsの認知度は大きく増加し、2人に1人は聞いたことがある状況になってきているようです。
私は仕事柄、さまざまな方々とお話をしていると
「SDGsに具体的にどう取り組んだら良いのかわからない」
という声をよく聞きます。
そこで、今回は、「マイプロジェクト」という観点からSDGsに取り組むヒントを考えてみたいと思います。
マイプロジェクトとは、わたしからはじまる
前回は、SDGsに取り組む方法として、ボランティアなどの社会参加やSDGsを伝えていくこと、寄付の3つがあることをお伝えしました。
今回ご紹介する「マイプロジェクト」は、この3つ全てに当てはまりつつも、自分の関心事を起点に行動を起こしていくものです。
マイプロジェクト(通称:マイプロ)とは、「主体性」を持って、自分が変えたいと思うこと、関心があることについて調べて、小さくてもアクションを起こしていき、ふりかえり、そこから学んでいくプロセスを繰り返す取り組みです。
「未来は自分たちの手で小さくとも変えていくことができる。その可能性を誰しもが持っている」ことを大切にしています。
アクションは小さくてもいいです。
・まちに落ちているゴミが気になるので、ゴミ拾いをやってみる。
・コミュニケーションを大切にしたいので、毎朝、家族や友達にあいさつをちゃんとする。
・将来の可能性を考えるために、いろいろな大人に話を聞きに回ってみる。
とか。
誰かに言われてやるものではないですし、アクションして終わりではなく、そこからきちんとふりかえって、学びや気づきがないかを確認していきます。
私自身も、市民の政治や政策に関心を持ってもらうことをテーマに、行政のパブリックコメントの意見を届けるためのワークショップや市長立候補者への市民発の公開質問状などさまざまなアクションを行ってきた経験があります。
高校生たちに広がるマイプロジェクト
いま、全国では高校生たちの「マイプロジェクト」が広がっています。
高校生たちのマイプロジェクトは、個人の問題意識、学校での総合学習や探求学習の時間をきっかけに取り組むケースなど、さまざまですが、身の回りの課題や関心をテーマに、アクションを通じて学んでいきます。
新潟でも数年前から取り組みが始まっていて、私もアドバイザーとして関わらせていただいています。
今年の12月19日にはNIIGATAマイプロジェクト☆LABO(事務局:NPO法人みらいずworks)主催の新潟県Summitが開催され、県内から43のプロジェクトの参加がありました。
私が昨年から話を聞かせていただいている高校生は、「フードロスを解消したい」というテーマで、クラスで勉強会を開いたり、フードバンクに話を聞きに行ったり、その時に得られた気付きからアクションを変え続けています。
ほかにも、演劇が好きで自分で地域の人たちを巻き込んで鑑賞会を開いたり、テニスがしたいと市内のテニスサークルを自分で調べてネットで公開するサイトを作ったり、これまでに自分の関心事から始まっているユニークなアクションが多く生まれています。
当事者意識が育まれ、視野が広がる
自分の関心事や問題意識について考え、主体性を持って、何らかのアクションを起こしていくことは、社会についての当事者意識を育むことと言えるのではないかと思います。
当事者意識とは、起こっている物事に対して、自分も関わっている、影響を及ぼしている一人なのだと気づくことです。
気候変動、マイクロプラスチック、いじめ、ジェンダーなどさまざまな問題が社会にはあふれています。
ただ、自分や身近な人がその問題によって直接影響を受けていないと、私には関係ないと無関心になりがちです。
先程紹介した、「フードロスを解消したい」という高校生のアクションは、食について自身の意識が低かったことに気づき、食を身近に考える取り組みに変わってきています。
これは、フードロスという「食」の廃棄の問題から、生産、提供も含めた「食」全体を取り巻く状況に視野が広がったことを意味しています。
こうして、何気なく関心を持っていたことが、社会のさまざまな事柄とつながっていたと学ぶことは、SDGsの達成、持続可能な地域がわたしたち一人ひとりのアクションによって生まれてくる気づきになります。
年が明けると新年の目標を立てる方もいらっしゃると思います。
その際に、ぜひ、「マイプロジェクト」を計画してみるのはいかがでしょうか。
親子で一緒に考えるのでもいいですね。
どんな小さなアクションでもかまいません。あなたの日常をほんの少し変えることにつながるかもしれません。
<参考リンク>
・NIIGATAマイプロジェクト☆LABO