SDGs de はぐくむコラム

やれば できる!!

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最近、流行っている『ティモンディ』の「やればできる!!」を見たり聞いたりしたことはありますか?

この言葉は、自分に向かって言うときと他者に向かって言うときの微妙なニュアンスによって難しさを感じます。

今回は、二つの場面をご紹介します。

一つ目は、8月8日にBSNキッズプロジェクトで『親子でゆういく!リモートワークショップ』を開催したときのことです。初めてZoomを利用してのワークショップだったこともあり、参加家族は8組でした。初の試みに参加してくださったご家族の皆さんに感謝申し上げます。

このコロナウイルス禍での巣ごもり需要を反映して、YouTubeやInstagramではダンスや体操など「一緒に真似をしてください」の動画がアップロードされています。動画を視聴してのエクササイズは一方向となってしまいます。

その点、Zoom等のリモートは双方向のため、様子を見ながら進めることができます。参加者からの感想は「ビニール袋、新聞紙、風船など身近なもので、色んな遊び方ができることを学びました。親子での風船バレーや新聞紙キャッチボールは、息子が小学生になり、いつの間にか続くようになっていて、息子の成長をすごく感じました。これからも続けたいなと思います!」や「気軽に家から参加できるのは良かった。親子でとても盛り上がりました」など、の声が届きました。

また、自宅ですることで他人の目を気にせずできることも利点です。できなくても恥ずかしい事も無く、比較することもない状況で進むのも新しい発見でした。もちろん、良いことばかりではなく、画面が小さくて上手く伝わらなかったり、進行が早すぎてついて行けなかったりしたところは反省点です。

Zoomなどのリモートは、まだまだ一般的に浸透しているとは言えません。アプリケーションをインストールして初期設定など煩雑な作業を行わなければいけないからです。

そんな中、遠方(上越や横浜など)から接続して楽しんでもらえたことは、大きな可能性を感じます。

「リモートワークショップ」の企画と運営に携わったスタッフの皆さん。「やれば できる(た)!!」次回はハイブリッド(対面とリモートを組み合わせて)でやりましょう!!

 

二つ目は、ある園での話。

遅い梅雨明けから一転、猛暑、酷暑の日が続きました。おまけに9月3日、三条市で40℃を観測、9月としては統計開始以来初めて! とビックリニュース。

この夏はとにかく暑くて、保育所、こども園、幼稚園では水遊びやプールが楽しみな時間でした。5歳児(年長)や4歳児(年中)クラスの子ども達は、水遊びから泳ぐことに興味を示します。水が嫌な子どもにとって顔を浸けるのは、泣きたいくらい辛いことです。「顔は洗うのではなく、タオルで拭いてもらっている。」ということも聞きます。

プールの水に顔を浸けられない子どもがいました。怖いので水をすくって顔を洗い”水慣れ”の動作を繰り返します。なかなか上手くいかない友達の様子を見たある子が『ティモンディ』の真似で「やればできる!!」と言ったところ、周りの子も同調して「やればできる!!」の大合唱。そうしたら、なんと水に顔を浸けようとチャレンジしたというのです。その時の子どもの「やればできる!!」は「頑張れ!!」の応援だったのでしょう。

大人が遊びや運動・スポーツの場面で、できていない子に「やればできる!!」と言ったら、受け止め方によっては上から目線のマイナスイメージになります。何故できていないかを分析し、「やればできる!!」方法を言葉で伝え、見せてあげることや、その子の技量を判断する事が重要です。

遊びや運動・スポーツを教えるときは、小さい成功体験(「やればできる」体験)を積み上げていき、大きな成功体験に導いて行けたらと考えています。

私の研修会や講座が10〜12月にかけて10カ所であります。その時にでも「やればできる」体験のヒントを実技や講演で体験してもらえたら嬉しいです。

『ティモンディ』の高岸宏行さんが「やればできる!!」と言ったら、皆さんはどのような受け止め方をするのか、気になります。

9月19日(土)BSNラジオ 朝9時~ 「大杉りさのRcafe」で放送予定。

この記事のWRITER

伊藤巨志(三条市在住 新潟県立大学 大学院 健康栄養学研究科 教授)

伊藤巨志(三条市在住 新潟県立大学 大学院 健康栄養学研究科 教授)

1964年、三条市生まれ。日本体育大学大学院修了【体育学修士】、新潟大学大学院博士後期課程修了【博士(教育学)】。子どもの身体発育発達学、運動遊び、健康教育を専門に研究。新潟市寺山公園子育て交流施設「い〜てらす」低学年広場を監修するなど、遊びの中で運動を身につける「遊育」を推奨。現在:人間生活学部子ども学科長。日本体育・スポーツ・健康学会、日本発育発達学会などに所属。
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