先月、子どもたちを対象にした料理教室を開催しました。一緒に参加されたお母さんたちは、お子さんが初めて持つ包丁にドキドキしながらも、目をキラキラさせながら一生懸命に食材を切る姿に驚き、成長を感じたと話されていました。
「子どもに包丁をいつから持たせると良いですか?」と質問をよく受けますが、個々の発達段階や、安全意識の理解度などにより異なります。例えば、3歳前後でも正しい環境と大人の徹底したサポートがあれば、包丁に触れさせることは可能です。
包丁の正しい使い方(振り回さない、刃には触らない等)を守ることができるかを確認し、切る食材はバナナやゆで野菜など柔らかいものを選び、大人が手を添えて包丁を一緒に持ち、ゆっくりと切ってみましょう。まずは“包丁に慣れる”ことを目的に親子で体験して、道具への興味や食への関心を高めていきます。
一般的に5歳前後になると、手先の動きが発達し、理解力や集中力が高まり「怖いものを正しく怖がる力」が身についてきます。刃物など危険なものを安全に扱えるようになるためには、よく切れる包丁を正しく持たせることが大切です。切れ味の悪い包丁で練習を重ねると、無理な力を入れ過ぎてかえって危険なこともあります。大人の私たちでも時々包丁で手を切ったり、鍋の蓋で火傷をすることがあるため、子どもにも当然リスクはありますが、それらの小さな体験を繰り返すことで大きなケガを未然に防ぎ、生きる力を育むことにつながると考えています。
子どもたちと一緒に料理をすると、小さな“できた!”があちらこちらでみられます。その目の輝きは「学ぶ楽しさ」「新しい発見」「自分でやりとげた自信」そのもので、さらに誰かに食べてもらうことで「笑顔にさせることができた」「役立った」「同じ気持ちになれた」と他の人に気持ちを向ける力が育つのを感じます。料理が単なる食べるための作業ではなく、自分自身を成長させ、人と人をつなぐ温かいコミュニケーションであることを子どもたちに教えてもらっています。
今回は包丁についてお話ししましたが、料理はむく、つぶす、たたく、混ぜる、にぎる、型をぬく、味見をするなど、子どもにとってたくさんのワクワク体験がつまっています。年齢に関係なくお子さんが「やりたい!」と思うタイミングで、できる作業から親子の台所時間をつくってみてはいかがでしょうか!
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
5月10日は、管理栄養士のますがたみきさんです。お楽しみに!