世界遺産条約は、1972年にユネスコ総会で採択され、現在、196か国が締結しています。日本も1992年にこの条約を締結しました。この条約は、文化遺産や自然遺産を人類全体のための遺産として、損傷や破壊などの脅威から保護・保存するため、国際的な協力・援助体制を確立することを目的としています。日本からは、文化遺産21件、自然遺産5件の計26件が世界遺産に登録されています。
そもそも、「文化」とは何でしょうか?文化庁によると、文化は「文化は,(1)人間が人間らしく生きるために極めて重要であり・・・(略)・・・また,企業も社会の一員として,文化の価値を追求して行動することが求められます。」と書かれています。さらに、文化は「最も広くとらえると,人間が自然とのかかわりや風土の中で生まれ育ち身に付けていく立ち居振る舞いや,衣食住をはじめとした暮らし,生活様式,価値観など,人間と人間の生活にかかわることの総体」と説明されています。
SDGsのゴール11には「全ての文化及び自然遺産の保全、保護及び保存」に関する指標がありますが、皆さんが頭に思い浮かべる「日本の文化」とは何でしょうか?新潟県でいえば、2024年に「佐渡島の金山」が世界文化遺産に登録されました。「佐渡島の金山」は、世界の他の地域で鉱山の機械化が進んだ時代に、高度な手工業による採鉱と製錬技術が250年以上にわたって継続されていたことを示す物証である点が、世界的な価値として評価されました。
私が思い浮かべる「日本の文化」といえば、着物(和装)や茶道です。実家が呉服屋で、母は表千家の教授者、父は表千家同門会の県副支部長を務めています。私にとって、小学生の頃から着物を着ることやお茶をいただくことは、とても普通のことでした。そのため、日本の文化に触れる機会に恵まれていたと思います。しかし、近年では着物を着る人が減り、和装市場は縮小しています。また、茶道人口も減っています。会員の高齢化や後継者不足、お稽古場の閉鎖なども課題となっています。共働き世帯が増え、お稽古の時間を確保することが難しくなったことや、趣味や娯楽の選択肢が広がったことも影響しているのかもしれません。このままでは、着物や茶道をたしなむ人が、ますます少なくなってしまうのではないかと感じます。文化は、形として残っているだけでは継承されません。それを知り、楽しみ、実際に触れ、次の世代に伝える人がいて、初めて文化は続いていきます。

母に教わりながらお茶を点てる夫
先日、初めて浅草の寄席で落語を聴き、歌舞伎も観に行きました。歌舞伎は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。落語は、出演者についてほとんど知識がなかったため、「これは寝てしまうかも・・・」と思っていました。しかし、予想に反して、あまりの話のうまさに引き込まれ、最後まで楽しく聴くことができました。「なんて魅力のある話し方をするのだろう。自分もこのように話したい。何かコツをつかみたい!!」という気持ちになりました。また、話の中に歴史にまつわる内容などが出てくると、聴く側の知識も問われます。日本の歴史や文化について、改めて勉強しようと
思いました(まだ始めていませんが・・・)。

歌舞伎座の外観
地域に伝わる文化や歴史を知る入口の一つに、「日本遺産ポータルサイト」があります。
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/
「日本遺産(Japan Heritage)」は、地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化や伝統を語るストーリーを文化庁が認定するものです。有形・無形のさまざまな文化財を、地域が主体となって活用し、地域の活性化につなげることを目的としています。皆さんの住んでいる地域にも、まだ知らない文化や歴史、興味を引かれる「お宝」があるかもしれません。ぜひ一度、日本遺産ポータルサイトをのぞいてみていただければと思います。私たち一人一人が、自分の国や地域の文化に興味を持ち、実際に観たり、聴いたり、体験したりすることで、日本の文化を大切にする社会にしていきませんか?

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。7月18日は、長岡市在住で長岡技大国際産学連携機構 特任講師/主任UEA の 勝身 麻美さんです。お楽しみに。
