SDGs de はぐくむコラム

子どもは誰もが天才かもしれない

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二人でピアノ

お正月を過ごすために、小学校3年生と1年生の姪っ子が新潟にやってきました。孫のいない私たち夫婦にとって、小さな姪っ子たちは、ほとんど孫状態で、私たちは新潟に来るのを楽しみにしていました。

二人でダンス

3年生の姉は「K-POPアイドルになりたい」と、YouTubeの練習動画を見ながら習得したダンスを見せてくれました。グループ名も聞いたけど覚えられない(苦笑)。そのダンスはキレッキレで顔の角度や目線など細かいところまで再現されていて見事でした。私たちがピンクレディを踊るのとはけた違いの速さと細かい動きで、今の子どもたちってすごいです。「オーディションに受かって、3月に子どもミュージカルに出るから見に来て」と言われました。

魔女の絵

1年生の妹は、「作家になりたいし、お料理を作るのも大好きだから、カフェをやりながら作家をやろうかな。」と言っています。絵がとても上手で、自分で作った図鑑を見せてもらいましたが、セミや鳥を種類別に精密に書き分けていてびっくりしました。また、絵本を見ながら絵を書き写したものもそっくりです。姉妹それぞれの個性がうまく育っていると感心しました。

二人とも「沢山やりたいことがあって、もう、どれにしたらいいか分からないくらい。」と目をキラキラ輝かせながら話してくれました。

こんなにワクワクしながら将来の夢を語る子どもたち、その夢がかなうように子どもたちのやりたいことや気持ちを壊さないように応援していく事が、大人の務めだと思いました。

二人で凧揚げ

一方、帰省した娘からこんな話を聞きました。娘の友達は5歳の男の子がいるのですが、通っている園で個人面談があり、担任の若い保育士に30分も子どもの出来ない所を言われ続けて、瞼がぴくぴくして帰って来たとのことです。ママは辛かったでしょうね。「まだ、5年しか生きてないのに、お友達と仲良くできないとか、あれが出来ていないとかこれが出来ないとか、いろいろ言われて・・・」と娘に話したそうです。娘は「私は30年以上生きているけど、未だに皆と仲良くできないわ」と答えたそうです。

ミッキーと

大人だって能力やスキル、性格など色々凸凹を抱えながら生きています。ましてや成長途中の子どもは凸凹が大きくて、これから大人になる過程で、経験や学習をしながら社会でやっていく方法を身につけるのではないでしょうか。小さいうちからできない事をとやかく言われたら、「自分はダメだ」と思ってやる気も自尊感情も低くなってしまう。親だって一生懸命育てているのに、「あなたの育て方は間違っている」と言われているように感じて悲しくなってしまうでしょう。

その子は水族館や動物園が大好きで、一緒に行った娘に沢山おしゃべりしてお魚や動物のことを教えてくれるそうです。そんなに素晴らしい能力を持っているのに、できない部分に目を向けていたら、彼の素晴らしい所が見えないのではないでしょうか。

できる部分に目を向けて「そんなことも知っているの、すごいね」等と伝えたら「もっと聞いてもらえるように覚えよう」とか「自分はけっこう、すごいかも」って思えて、自分を好きになるでしょう。自分を好きになるってことは自分を大事にして生きていく、生きる力の一つになると思います。

保育士さんは、自身の中に理想の子ども像があってそれに近づけることが子どもの幸せだと思っているのかもしれません。理想と比べて出来ない部分を出来るようにすることも教育かもしれませんが、まずは、目の前にいる子ども自身を観て欲しいです。できればその子の良いところを言語化して子どもにも親にも伝えて欲しいです。

姪っ子たちも、まだまだ出来ない事の方が多いと思います。「ご飯だよって」呼んでも返事が無いので見に行くと、二人とも私の本棚から絵本を取り出し読んでいる最中でした。1年生の妹は、絵を描き始めると他のものは目に入らないくらい絵を描くことに集中します。呼んだら返事をしてすぐに来る子は、大人にとって都合の良い子でもあるのですが、こういう一人で集中できる時間をたっぷり持てることも子ども時代における豊かさなのだと思って見ていました。

お友達と遊ぶのが楽しくて好きな子は、お友達と遊べばよいのです。一人で興味のある事に集中したい子はそうすればよいのではないでしょうか。ママが言っているように、子どもはまだ5年しか生きていません。学びながら大きくなるそんな入り口に立ったばかりです。保育士さんも周りの大人たちも親と一緒にその子らしく成長する姿を見守っていけたら良いのになあと思います。親だって親になってから5年、迷いながら子育てをしています。我が子が褒められたり、認められたりしたら明日からまた頑張って子育てしようと思うのではないでしょうか。

できる方にフォーカスして見たら、子どもは誰もが天才かもしれないと思わせる何かを持っています。でも、できない所にフォーカスしたら、できない事が目について、いつも怒ったりイライラしたりしていなければならないでしょう。だって子どもなんだから大人と比べたらできない事の方が多いでしょう。

それぞれの個性がある、凹んでいる所を注視して平らにするより、できる事に注目してそこを伸ばす方が、育つ方も育てる方も一緒に楽しく成長できる気がするのです。

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。1月11日は、新潟市在住 にいがた子育ちステイション理事長 /子育て支援ファシリテーターの立松有美さんです。お楽しみに!

http://立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2025/01/11/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20250111100000

この記事のWRITER

立松 有美(新潟市在住 にいがた子育ちステイション理事長/子育て支援ファシリテーター)

立松 有美(新潟市在住 にいがた子育ちステイション理事長/子育て支援ファシリテーター)

1960年新潟市生まれ。子育てをしながら公民館や女性財団で男女共同参画やファシリテーションなどを学ぶ。2015年、「にいがた子育ちステイション」を設立。2016年、新潟初の子ども食堂「にいがた ふじみ子ども食堂」開設。子育て支援ファシリテーターとして公民館の家庭教育学級やNobody’s Perfect等の親支援プログラムのファシリテーターとして活動。アンガーマネジメントファシリテーター 産業カウンセラー NPO法人日本ファシリテーション協会新潟サロン世話人 ほか
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