新潟県では、県民の健康寿命の延伸を目指し『健康立県ヘルスプロモーション事業』を進めています。「生きがい・幸福度」を軸に、「食生活」、「運動」、「デンタルケア」、「たばこ」、「早期発見・早期受診」の5つのテーマで県民運動を展開しており、前回のはぐくむコラムでは「食生活」をテーマに『からだがよろこぶ』についてご紹介しました。
今回は、テーマの一つ「デンタルケア」の中でも【口腔機能の発達】についてお話したいと思います。現在、新潟市や見附市の歯科医院の先生と一緒に離乳食講座を開催しています。歯科と栄養の2つの分野が関わることで、食べる機能の向上や全身の健康維持、生活習慣予防につなげることがさらに増えていきます。
近年、高齢期のムセ、食べこぼし、うまく噛めない等の口腔機能の低下『オーラルフレイル』の対策について様々な所で聞かれるようになりましたが、さかのぼると授乳期や乳幼児期からの正しい口腔機能の獲得が、成人期のQOLを高め、加齢による機能低下の速度を緩やかにすると言われています。
歯科医院で開催している講座では、『オーラルフレイル』予防を見据えたお口の発達を促す離乳食の進め方として、月齢ではなく個々の体の発達に合わせた食べ物の硬さ・大きさ、咀嚼力や舌の動きを鍛える工夫をお伝えしています。また、乳幼児期のお口育ては、その後の健康的な歯並びや発音、言語発達にも良い影響を与えると言われており、加齢による滑舌の悪さや会話の衰えの予防にもつながります。
それでは、口腔機能を育てるために、乳幼児期の食事の様子でよく見ていただきたいポイントをいくつかご紹介します。
1 正しい「姿勢」で食事ができていますか?
まっすぐ背筋を伸ばして座るために、机や椅子の高さが子どもに合っているか確認してみましょう。まっすぐ座れない離乳期の月齢であれば、体と首の角度に注意しながら椅子の背面や側面にクッションやタオルをはさんで体を固定してあげましょう。
2 食事中に足の裏全体が床や踏み台についていますか?
足の裏が浮いていると身体に力が入らず姿勢が悪くなり、噛む力弱くなってしまいます。足の裏全体をつけて食べると噛む力が約15~20%もアップすると言われており、離乳期から足の裏がつく食事環境を整えてあげましょう。
3 唇を閉じて食事ができていますか?
乳幼児期に唇を閉じて食べる練習をすることは、舌や顎などのお口周りの筋肉の発達を促し、上手な飲み込みにつながります。離乳食をスプーンで与える時は口の奥まで押し込まない、乳幼児期の水分補給は「コップ飲み」を中心にする、食べ物を前歯でかじりとる練習をしっかりさせること等が大切です。
個々の発達に合わせた食事の進め方で分からないことがあれば、歯科医師や管理栄養士、言語聴覚士など専門職にどんどん頼っていただき、長い目で見たお子さんの健康づくりをたくさんの視点で支えてあげる環境が、今後さらに増えていくことを願っています。
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
11月30日は、管理栄養士のますがたみきさんです。お楽しみに!
立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2024/11/30/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20241130100000