いきものがたり

Vol.46 ただいま飛行訓練中

SNSでシェア

前回、初夏に見たチョウゲンボウの1ヶ月後、ヒナはどうしているだろうか・・・

巣にはすっかり大きくなりグレーの羽毛もなくなり親によく似た模様の羽に生え変わった若鳥がいた。1ヶ月でこんなに成長したのだ。しかし巣の場所には1羽しかいない。他の鳥はどうしたのだろうか。あたりを見るといたいた・・・近くの電柱や電線、さらには少しはなれた鉄塔に親も交えて飛び交っている。

実は、巣立ったばかりのこの時期、飛行訓練の真っ最中なのだ。親がホバリングを始めた。ホバリングとは、空中で翼や尾羽をつかって羽ばたきながら一定のところでとどまっている飛行で、ヘリコプターが空中で止まっている飛び方に似ている。チョウゲンボウは、平野の上空でこのようにホバリングをしながらエサを探し、見つけると急降下してエサを捕らえる。このような環境で生きるためには習得しなければならない技なのだ。若鳥は親と一緒に行動するこの時期にこうした技を覚える。

チョウゲンボウは以前は新潟を含む日本の平野部には繁殖しないとされてきた。今のように繁殖を見ることができるようになったのはここ30年ほどのことだ。巧みに人工物を利用しながら子育てをする小さなハヤブサ、チョウゲンボウたくましく生き抜いている・・・

SNSでシェア

新着記事