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科学と科学者のはなし ー寺田寅彦エッセイ集ー

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寺田寅彦(1878-1935)は物理学者で、随筆家でもあった人物で、日常生活の些細な出来事から科学の本質を描く多くの随筆を残しました。本書は、こちらも物理学者の池内了氏が、寺田の随筆から38編を中高生のために選んだ岩波少年文庫です。

中には、東日本大震災の後に話題になった「津浪と人間」、科学と知識について述べた「言語と道具」、科学者とそれ以外の人々の生き方について論じた「科学者とあたま」、夏目漱石の思い出を書いた「夏目漱石先生の追憶」などが含まれています。私が気に入っているのは「新星」「蓑虫と蜘蛛」など。子どもの姿が描かれていて、大物理学者なのに家庭生活のほのぼのとした様子を知ることができるものです。生活の至るところに、科学とのつながりがあるということを改めて感じさせてくれます。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)

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