新潟県内の山間地の冬は豪雪に見舞われる。すっぽりと雪に覆われた大地。ここで生き物はいるのだろうか?
2月、そんな山地に足を運んだ。静まり返った山の斜面に鳥の群れが近づいてきた。一つの生命体のように空中を移動する。この群れの正体はアトリ。夏は極北 で繁殖し、秋南下して日本に現れる。そして一年を通して生きているシジュウカラの姿も。こうした鳥は山地の森の木々の枝などをたどりながら潜んでいる小さ な虫などを食べてしのいで生きているのだ。
さてもっと大きな鳥はといえば・・・山の稜線からふわりと現れたのが、絶滅危惧種のクマタカだ。翼を広げると170cmほどもあり四季を通じてこうした山 地で命をつないでいる。冬でも山地から離れないで生きていける理由・・・それはからだの構造の特徴にみることができる。翼が幅広く、一枚一枚の羽根も幅が あり尾羽も幅があって丈夫だ。この羽根のおかげで、急降下、急ブレーキなどが自在で、リス、ウサギ、ヤマドリなどを木にぶつからずに獲ることが出来るのだ。
クマタカの羽根は江戸時代、徳川幕府への献上品となっていて、武士の使う弓矢として遠くへ飛ぶというので珍重されていたという歴史がある。この日もゆったりと飛翔していて突然、急降下する姿を見ることができた。
季節は春に向かっている。冬を生き抜いたものたちには繁殖の季節が待っている。