いきものがたり

Vol.42 森の中の小さな宝

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6月。広葉樹林の森に、小さな美しい鳥を見つけた。のどがオレンジ色、お腹が黄色、翼は黒と白のおしゃれな鳥「キビタキ」だ。

大きさは木の葉と同じぐらいで、葉に隠れるとまったく見えなくなってしまう鳥だが、なわばりを主張して鳴くと、のどのオレンジ色が膨らみからだが少し大きく見える。広葉樹林の森は光が中まで差し込む明るい森なので、キビタキが動くと小さいながらも目立つ存在となる。

キビタキは冬は東南アジアにいて春先に北上してくる渡り鳥。虫やガを森の中で飛び回りながら捕まえる。くちばしはピンセットのように細く、このような獲物をつかまえるには最適で、枝から飛び出しパッと捕まえると元の枝にすかさず戻る。美しい姿とその捕まえる姿で、英名をナルシス フライキャッチャーと呼ばれているのだ。

オオルリの羽の青は構造色で光が当たると青くみえるものだが、キビタキの黄色は羽根そのものの色。森の中ですごしながら自分の存在を姿と声でアピールし続ける。

その姿はまさに「森の中の小さな宝」だ。

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