いきものがたり

Vol.51 秋の空にタカ柱

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一年ぶりに小千谷市山本山を訪れた。山本山からの眺め、それは魚沼の山、八海山、中ノ岳、駒ケ岳をのぞみ、足元には魚野川が合流した信濃川が見える雄大な景色だ。

秋のよく晴れた朝、山々には霧が立ち込め幻想的な雰囲気が漂う。眺めていると1羽のサシバ(タカ科)がやってきて低い山の樹木に止まった。次第に太陽が昇り、霧が晴れてくると…北の方角から小千谷の市街地を掠めるように向かって飛んでくるサシバがいる。気がつくとサシバの数がどんどん増えてきた。そして太陽の熱で空気が温められてくると上昇気流がおこり、サシバたちはその気流に乗って翼を動かさずに回りながら上昇していく。複数のタカが周りながら上昇する姿をタカ柱という。彼らは気流の円柱のてっぺんまで到達すると目的地方向へとすべるように流れていく。サシバの他にはハチクマ(タカ科)も。これらのタカは渡りをするタカで、春先東南アジアから日本に渡ってきて子育てをし、秋にはまた東南アジアに渡って、温かい地方で冬を過ごすのだ。

冬は彼らを満たすだけの食べ物はない。だからこそ長距離移動という厳しい生き方を選択しているのだ。長い渡りの道のりの中で命を落とすものも少なくないという。
だからこそ上昇気流で楽に移動できる場所は彼らにとって大切な場所なのだ。朝方、近くに樹木で待っていたサシバは、上昇気流が昇るのを待っていたのだろう。エネルギーをうまく使うということは彼らの大切な知恵だ。

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