いきものがたり

Vol.66 得意なのは木の実割り

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サクラの花の頃、出会ったのはヤマガラだった。
年間を通して森や樹木の多い庭などにも出現する鳥で、シジュウカラの仲間だ。
「ニーニー」と鼻にかかったような鳴き声が特徴で、さらにもう一つ、ヤマガラが出す音がある。
「コンコンコン コンコンコン」と何かをたたくような音だ。いったい何かと見ていると・・・

地面近くのブッシュから飛び上がりある木の枝に止まった。
くちばしにエゴマかなにかの実をくわえてそれを足の間に挟むと、勢いよくくちばしでたたき始めた。
ヤマガラは木の実や草のみが大好きで「コンコンコン」はそのたたく音だったのだ。
10秒間に12回という速さ。頭を思い切り振って実の殻を割る。立て続けにたたく姿は一心不乱。
冬場には庭先にひまわりの種などを置くと、サッと持っていくことがあるが、彼らは一度それを割らないと食べることができないのだ。だから別の場所に持っていくという事情があったのだ。
くちばしでたたいて割るのはヤマガラの生きるための切実な技だったのだ。

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