いきものがたり

Vol.74 子育ては背中に乗せて…

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3月下旬、新潟市の鳥屋野潟で、カンムリカイツブリを見つけた。
頭に冠のような飾りのある水鳥で、かつては新潟では冬しか見ることのできない渡り鳥だった。その鳥がこの時期にみられるのだ。
もしかすると・・・観察していると2羽のカンムリカイツブリが頭の毛をさかだてて呼吸を合わせるように頭を上下している。
まるでハートの形を2羽で作っているようだ・・・2羽はカップルになったのだ。

さらに2か月後、湖面には水草が繁茂して群落がいくつかできていた。
その一つにカンムリカイツブリが近づいていった。
その先には、水草の中にもう1羽がいて、なんとその場所を交代したのだ。
少し小高くなっていてそこで営巣していたのだ。水草の葉が大きく、巣はうまくカモフラージュされていた。

さらに2週間後、再び湖面をさがしていると、1羽が魚をくわえて移動中だ。
その先に背中がぼこぼこしているカンムリカイツブリがいた。
その背中のぼこぼこ、よく見ると3羽のひなだった。親とはまったく違い白とグレーの縞々模様。
ヒナは生まれてすぐ泳ぐことはできず、親の背中に乗って餌を食べさせてもらっていた。
しばらくするとひなが水面に滑り降りた。もうちょっとずつ泳げるようになったのだ。
カンムリカイツブリの一夏の貴重な繁殖記録だ。

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