いきものがたり

Vol.80 セキレイの秘密

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日本書記に最初に登場する鳥と言えば「鶺鴒(セキレイ)」。
それだけ日本人に親しい鳥といえる。日本で生息するセキレイは3種類あり川の上流域から順にキセキレイ、中流域にセグロセキレイ、下流域にハクセキレイがいる。
みなよく似ているが特にセグロセキレイとハクセキレイはよく似ている。
そのうちセグロセキレイは日本固有種で、日本でしか見ることができない。
ハクセキレイの顔は白いところに眼にかかる横の黒いラインが特徴で、セグロセキレイは黒い顔に眼の上に白い眉のようなラインがある。
この2種は実は生活が違っていて、セグロセキレイは川の中流域のゴツゴツした岩や石の間をピンセットのようなくちばしを突っ込みカワゲラ、トビケラなどの水生昆虫を獲っている。これに対してハクセキレイはもっと河口に近いところで砂利混じりの開けた場所でとれる虫などを獲っている。
この2種、実は100年ほど前には、セグロセキレイはごく普通に見られ、ハクセキレイはまれにしか見ることができなかったといわれている。
現在ではこれが逆転し、ハクセキレイは多くの場所で見られ、セグロセキレイは川をさかのぼったりしてゴツゴツした岩のあるような場所で見られるという違いがある。
人間が開発して土地利用を進めることが結果的には、ハクセキレイの生息域を広げることになったといえる。
その鳥のいる場所は、その場所の環境と資源を表している。

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