いきものがたり

Vol.23 タカの渡り

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小千谷市山本山高原の頂上から信濃川をはさんで対岸の景色は雄大で、晴れた日には遠く越後三山や八海山などの多くの山々を望むことができる。人間にとっても絶好のビューポイントだ。

この場所が、秋にはタカにとっても重要なルートになることをご存知だろうか。秋になると北に開けた平野側からサシバやハチクマといった渡りのタカが十日町を抜けて南の方角へ多数移動する様子を見ることが出来るのだ。
なぜなのか朝から観察していると、太陽が昇り地面が暖まってくると上昇気流が出来る・・・するとタカはその気流に乗ってらせんを描きながら上昇する。その間、翼はほとんど動かさない。そして上昇気流のてっぺんに達するとゆるやかに南へ流れていく。身体は次第に下降していくが、次の上昇気流を見つけて再び上昇する・・・こうして自らのエネルギーをなるべく使わずに移動することに成功しているのだ。山本山の脇のV字の谷部分は地形の関係で上昇気流が生まれやすく鳥たちはそれを利用しているというわけ。
サシバやハチクマは夏、日本の森で子育てをし、冬は東南アジアなどで過ごすが、この渡りの時期だけは数多くの姿を見ることができる。山本山ではピークには一日800羽以上が通過するという、いわばタカのハイウェイだ。タカたちの長距離移動には地形を利用するタカの知恵が生かされている。

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