SDGs de はぐくむコラム

ママのお手伝いから育まれる「食能」

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木々が色づき、紅葉が美しい季節となりました。子ども達の生きる力を育むための能力【食能】について、コラムでご紹介しています。初回では【食能】の基本について記しました。

前回・二回目は、食能の一つ【食べる能力】として、「お外ご飯のススメ」をテーマとしました。反響が大きく「家の中だと怒ってばかりだったけど、お外でご飯を食べたらいつもより穏やかな時間を送ることができました。」「娘は好き嫌いが激しく少食ですが、お外ご飯の時はいつもの倍くらい食べてくれます。」などなど、様々なところで嬉しいご感想をいただきました。

ポイントは、かしこまらず、日常の延長にほんの少し気持ち良い空間を作り、家族でお外の良さを共有しながら食卓を囲むこと。これが、子どもの感性や心の成長につながります。冬がくるまでのこれからの季節、晴れた日に少し厚着をして、秋の空・秋の景色・秋の匂いを堪能しながら「お外ご飯」を楽しんでみてくださいね!

さて。今回は食能の一つ【作る能力】についてお伝えします。【作る能力】とは、自分で食事を作ることができる、誰かと一緒に食事を作ることができる、食べ物を栽培する能力のことです。我が家では【作る能力】を育てようと思った時、まずはお手伝いから始めました。

息子が1歳半の時に、大人の真似がしたくて台所にも立ちたいと泣いたことがありました。1歳半でどんなことができるのだろう?と母親にとっても挑戦です。

まずは、食卓のセッティング。テーブルを拭きやお箸やスプーンを運んでもらうお手伝い。

次に、煮干しの頭を取ってもらうお手伝い。煮干しの頭は少し力を入れただけでも取れるので、1歳代にはちょうど良い作業です。他にも、「生地をかき混ぜる」「ドレッシングをかける」「しめじやまいたけのきのこをほぐす」など。

やらせると、思った以上にできることばかりで、驚いた記憶があります。2歳になり、恐る恐る包丁を持たせてみたら意外と上手に使えたり、3歳で目玉焼きを一緒に焼いてみたりと、年齢を重ねるごとにできることが増えていきました。

子どもは新しいことへの挑戦が大好きなので、食事作りのお手伝いは喜んでしてくれます。あとは、大人がやらせるかどうか。台所が汚れる、手間が増える、失敗にイライラしてしまう、余裕がない時は負担が増えるばかりで「テレビでも観ていたら?」とつい口にしてしまうこともありました。けれど、台所育児を続けてこられたの「いつか、私が忙しい時に代わりに食事を作ってくれたらいいな」というしたたかな願望です(笑)。そして、この【作る能力】は子どもが20歳になり、一人立ちをした時や、家庭を持った時に発揮できたらいいなと願っています。

ある週末の朝、私が締め切りの迫った仕事に追われていると、台所からふんわりと温かい匂いがしてきました。お腹がグウッとなって、台所へ行ってみると、小学生の息子が家族のためにパンケーキを焼き、昨夜のスープを温め、果物とチーズを添えた朝食プレートを作っていてくれました。

したたかな母は「ついにこの日が来た!!」と心の中でガッツポーズ。そして、初めてお手伝いをさせた、あの小さな手を思い出して、成長した姿に胸にこみ上げるものがありました。

食能の【作る能力】は、日々の台所から育まれていきます。少し余裕がある週末などを利用して、ぜひ子どもと一緒に食事作りを楽しんでみてください。そして、その先にある未来へのバトンを渡してあげてくださいね。

あとは、パパへの台所教育も必要だったなあと、最近しみじみ思うのでした(笑)。

11月2日(土)BSNラジオ「大杉りさのRcafe」あさ9時~放送予定

この記事のWRITER

ますがたみき(長岡市在住・管理栄養士)

ますがたみき(長岡市在住・管理栄養士)

1981年 長岡市生まれ 短期大学専攻科卒業後、長岡赤十字病院で管理栄養士として6年間勤務。子ども達の成長と母親の育児に寄り添うため自身が考案した「食能」をキーワードに「はれいろごはん」を設立し、おやつ開発や料理教室を展開。2児の母親。 長岡市委託事業として乳幼児の健診・栄養相談・特定保健指導なども担う。
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