皆さんは最近、自然の中をゆっくり歩いたのはいつでしょうか。
私たち村山研究室のメンバーで、5月24日に苗場プリンスホテルを会場にして開催された「にいがたケンジュプロジェクト トレッキングツアー in 苗場」に参加しました。当日は定員の30名を超えるみなさんが参加されました。雨ではありましたが、新緑に包まれた苗場の自然の中を楽しく歩くことができました。

参加者の皆さんと
研究室からは、学生と大学院生が参加し、ウォーキング指導や準備体操、そして下肢機能の測定も担当しました。参加者の皆さんも測定を通じて自分自身の体力を感じてもらったり、学生たちと一緒に身体を動かしながら会話を交わし、一緒に歩いたりするうちに、自然と笑顔が増えていく様子が分かりました。

下肢機能測定の様子(体験しているのはTSUNEIさん)
この光景を見ながら、改めて「ウェルビーイング」という言葉について考えました。最近よく耳にするウェルビーイングとは、「幸福」や「幸せ」と訳されることが多いですが、単に気分が良いということではありません。世界保健機関(WHO)では、健康とは「病気でないこと」だけではなく、身体的、精神的、そして社会的にも満たされた状態であると定義しています。ウェルビーイングは、まさにそのような「心も体も人とのつながりも満たされた状態」を表す考え方です。
そのウェルビーイングを高めるために、特別なことが必要かといえば、実はそうでもありません。自然の中で過ごす時間には、ストレスホルモンであるコルチゾールを低下させたり、気分を改善したりする効果があることが報告されています。また、森林や緑地を歩くことで血圧や心拍数が安定し、心身のリラックスにつながることも分かってきています。

森林コースを歩きながら自然を感じることができました
さらに興味深いのは、「誰かと一緒に歩く」ということです。運動は一人でもできますが、仲間と一緒に歩くことで、「今日は来てよかった」「また参加したい」という気持ちが生まれます。人との会話や笑顔は、安心感や生きがいにつながり、運動を続ける大きな力になります。身体を動かすことと人とのつながりが組み合わさることで、ウェルビーイングはさらに高まると考えています。
今回のトレッキングでも、それを実感する場面がたくさんありました。森林ガイドの方のお話を聞きながら新緑の小道を歩き、立ち止まって景色を眺め、「空気がおいしいですね」「久しぶりにこんなに歩きました」と笑顔で話す参加者の皆さん。その姿から感じたのは、「健康づくり」は決して苦しいものではなく、楽しい時間の積み重ねなのだということです。
そして、このことは子どもたちにも当てはまります。最近では、自然の中で遊ぶ機会が減っていると言われています。しかし、自然の中では、でこぼこした道を歩いたり、鳥の声に耳を傾けたり、季節の花や木々の変化に気づいたりと、五感をたくさん使います。こうした体験は、身体能力だけでなく、好奇心や主体性、コミュニケーション能力といった「非認知能力」を育むことにもつながると考えられます。ウェルビーイングは、特別な場所や高価な道具がなくても育むことができます。
休日に家族で近くの公園を歩く、少し遠回りをして帰宅する、季節の移り変わりを感じながら散歩をする、そんな何気ない時間こそが、心と体を整え、人とのつながりを深め、毎日の暮らしを豊かにしてくれます。
健康とは、長生きすることだけではありません。「今日も楽しかった」「また明日も頑張ろう」と思える一日を積み重ねることが、本当の意味での健康、そしてウェルビーイングにつながっていくのではないでしょうか。
この週末、ぜひ皆さんも身近な自然の中へ一歩踏み出してみてください。その一歩が、心も体も元気にする、新しい発見につながるかもしれません。

研究室の参加メンバー
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。8月1日は、新潟大学人文社会・教育科学系准教授 村山敏夫さんです。お楽しみに!


