SDGs de はぐくむコラム

いつもの駐車場が、もしもの命を守る場所になる‐コインパーキングで防災キャンプ‐

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皆さんは災害が起きたときに、どこに避難するかを考えたことがありますか?
学校の体育館や公民館など、地域には指定された避難所があります。しかし,大きな災害が発生すると、多くの人が一度に避難することになり、避難所の混雑やプライバシーの確保、トイレ、食事、睡眠など、さまざまな問題が生じます。私はそれを2004年の中越地震で体験しましたし、2024年の能登半島地震の際には新潟市も揺れたことで避難のことが過りました。

今回のコラムでは、改めて防災について、我々の取り組みを紹介しながら考えてみたいと思います。

実はラジオ放送後、私は日本赤十字社新潟県支部とパラカ株式会社の皆さんからの協力を得て、新潟大学の学生40名と一緒に街中のコインパーキングで防災キャンプを実施します。
(そのため,今回のコラムには写真がありません.実施した様子は,後日にでも追加しようと思います)

「えっ、駐車場でキャンプ?」と思われるかもしれません。
普段は車を停めるために利用している駐車場にテントを張り、災害時の避難生活を体験しようという取り組みです。

なぜ駐車場なのか?
コインパーキングには防災の視点から考えると興味深い特徴があります。街中に点在していること、そして一台ずつ区画が分かれていることです。この区画を家族や個人の生活空間として活用できれば、プライバシーを確保した新しい避難の形につながるかもしれません。

もちろん、駐車場にはトイレや水道、電気などの設備が十分に整っていない場合もあります。安全性や衛生面など解決すべき課題も少なくありません。

私たちの研究室では、以前にも冬の新潟で防災キャンプを実施しました。そのときに参加した学生たちから聞かれたのは、「寒くて眠れなかった」「隣のテントのいびきが気になった」という声でした。
普段なら何気なく過ごしている一晩が、災害時には大きな負担になることを、学生たちは身をもって感じたようです。特に印象的だったのは、寒さだけではなく、音や人との距離感が睡眠に影響したことです。災害時の避難生活では、食べることや眠ること、安心してトイレを使えることなど、私たちが普段当たり前だと思っている生活環境が心と身体の健康を守るうえで大切になります。

ここで私が教育の中で大切にしていることがあるのですが、それは、「知っていること」と「実際にできること」は違うということです。

防災について教室で学ぶことはできます。しかし実際にテントを設営し、限られた道具を使い、普段とは異なる環境で生活してみると、教科書だけでは気づかなかった問題が見えてきます。例えば、夜間にトイレへ行くときはどうするのか、寒さや暑さにどう対応するのか、体調の悪い人や高齢者、小さな子どもがいたら、どのような支援が必要なのか。こうした問いに正解が一つだけあるわけではありません。だからこそ、今回参加する40名の学生には、ただキャンプを体験するだけでなく、「自分だったらどうするか」「誰かのために何ができるか」を考えてほしいと思っています。

そして、もう一つ大切なのが、地域にあるものを新しい視点で見直すことです。

駐車場は、普段は車を停める場所です。しかし、災害という状況を想定すると、地域の人々を支える空間として活用できる可能性があります。
これは、私が大学で取り組んでいる地域デザインの考え方にもつながります。新しい施設を造ることだけが地域づくりではありません。すでに地域にある場所や資源に新しい役割を見いだすことも、大切な地域づくりの一つだと思います。

もちろん、実際に避難場所として活用するためには、土地の安全性や管理者との協定、必要な設備の確保など、十分な検討が欠かせません。

今回のキャンプも、駐車場が避難場所として使えることを証明するものではなく、その可能性と課題を学生たちと一緒に考えるための実践です。

防災は、災害が起きてから考えるものではありませんし、防災を考えることは、命を守ることだけでなく、災害が起きた後もその人らしい生活をどう守るかを考えることでもあります。

今回は40名の学生たちと、いつもの駐車場で、いつもとは違う時間を過ごします。どんな発見があるのか、私自身も楽しみにしています。皆さんも今日、身近な街の風景を少し違った視点で眺めてみてください。普段は何気なく通り過ぎている場所が、もしものとき,誰かの命と暮らしを守る場所になるかもしれません。そんな新しい防災の可能性を、これからも学生たちと一緒に探っていきたいと思います。

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。10月24日は、新潟大学人文社会・教育科学系准教授 村山敏夫さんです。お楽しみに!

http://立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2026/10/24/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20261024100000

この記事のWRITER

村山 敏夫 (新潟市在住 新潟大学人文社会・教育科学系准教授)

村山 敏夫 (新潟市在住 新潟大学人文社会・教育科学系准教授)

1973年 十日町市生まれ。新潟大学大学院修了。新潟大学SDGs教育推進プロジェクトに取り組み、SDGs未来都市妙高普及啓発実行委員会委員長、新潟市SDGsロゴマーク選考会委員長を担当。出雲崎町、上越市など地域と連携した教育・健康・パートナーシップの仕組みづくりも担う。
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